自分で成長を止めないで...「このまま終われるか!」から始まる生き直し戦略
人生は螺旋階段のようなもの。「大丈夫」と思ったらまた不安になる......というのを繰り返していく。同じところをグルグルと回っているように見えますが、迷いながらも少しずつ前に進んでいれば、あるとき5年前とは明らかに違う景色が見えるようになっているはずです。
「学び直し」の効果を出すためにトップがやるべきたった1つのこと
── 日本の企業で「学び直し(リスキリング)」や「学びほぐし(アンラーニング)」がますます注目されており、「幸せへの6つの力」との関連性を感じました。企業は学び直しを機能させるために、どういったサポートをするとよいのでしょうか。
そもそも学び直しやリカレント教育の意味について考えてみましょう。これは、社会人になってからも「教育」と「就労」のサイクルを繰り返す教育制度を意味します。学ぶ側にとっては新たなスキルを身につけられます。また企業側にとっても、経験を積んだ人材が学び直すことで、イノベーションが生まれやすいというメリットがあります。
私は50歳以上の学びは、勉強ではなく学問にすべきと考えています。勉強と学問は全く違うんです。料理にたとえると、勉強は誰かが育てた野菜をお皿に盛りつけて、サラダとして出すようなもの。これに対して学問は、どんな土地にどんな種を蒔くかを考えるところから始まります。台風や干ばつが起きても枯れないように野菜を育てて、収穫する。そして、それを「食べてよかった!」と思ってもらえるようなサラダにして振る舞うんです。誰かのために役立つアウトプットをすることは極めて重要です。
多種多様な経験をした50代であれば、学問をすべきだし、誰もが例外なく、学びのプロセスを設計する力を持っています。具体的に動きさえすれば、学びのスイッチはオンになります。
── 「学び直し」の大事な前提条件ですね。
はい。学び直しを企業の戦略として進めていくためには、学びをアウトプットする機会が欠かせないわけです。にもかかわらず、日本の企業では、従業員に能力を発揮する機会を充分に提供できていないケースが多いように思います。
大事なのは、トップ自らが学んでいこうという覚悟をもてるかどうかです。学び直しとは、経営層と従業員が互いを理解し合う機会があってはじめて、真の効果が出るものです。トップにその姿勢がなければ、本人は学びを会社に還元できない。挙句にはセカンドキャリアとして自分のことを認めてくれる他の会社に移っていってしまいます。