退職トラブルを防止する6つのポイント
3. 退職予定者こそ大切にする
転職経験者の話として「退職の際に嫌な思いをした」ということがあります。
「退職事実を告げたら、上司が相談に乗らなくなった」や「退職事実を告げたら、飲み会に呼ばれなくなった」などの話を聞きます。日本の会社において、職場は家族や仲間という感覚が強いため、その場所から去る人をあまり良く思わない場合もあるようです。
ですが、退職予定者を大切にしないと、口コミサイトなどで会社を悪く書かれてしまう可能性があります。口コミサイトで悪評を書かれてしまうと、今後の採用活動や在職者のモチベーションのダウンに繋がります。このため退職予定者こそ、大切にしましょう。
4. 引き継ぎについてしっかり決める
「あいつは引き継ぎもせずにやめていった」など退職者を悪く言う場合があります。退職者に否があるケースもありますが、会社に否があるケースもあります。会社に否があるケースとして「引き継ぎとして何をやって欲しいか」を明確に伝えていないケースが挙げられます。
いつまでに、どのようなことを、だれに引き継ぐのか明確に伝えましょう。事実認識の齟齬がないように書面で指示した上で、面談を行うことをおすすめします。
面談の際には「退職時に年次有給休暇をまとめて取得するつもりか否か」ということも確認したほうがよいでしょう。退職時にまとめ有給休暇消化するケースは年々増えているように思えます。退職日まで実際に出社してほしい場合は、年次有給休暇相当額を退職金として支給することも視野に入れてください。
5. 退職届を書面で受け取る
退職届は必ず書面で受け取りましょう。退職の意思表示は口頭でも有効ですが、書面が残っていないと次のようなトラブルが起こる可能性があります。
■トラブル1:退職理由が自己都合でなく、会社都合だと主張される
口頭でのやりとりの危険性は「言ったことと違うことを主張される」という点です。退職者が自分から辞めると言ってきた場合でも、書面でその事実を証明する書類が残っていないと、「私は会社から解雇されました」という根も葉もない主張に対抗できなくなります。
■トラブル2:退職の意思表示を撤回される
口頭でのやりとりの危険性は「言ったことを撤回しやすい」という点です。例えば「こんな会社辞めてやる!」と大声で社長に向かって叫び、会社を出ていった従業員がいたとします。客観的に考えればこの従業員は明日から来ないだろう、つまり退職したと考えるのが自然です。
ところが、翌日この従業員が何食わぬ顔で出勤していたとします。社長がその従業員に対して「君はもう退職したのだから職場に出入りしないでください」と告げたところ、従業員から「昨日の私の"こんな会社辞めてやる!"という発言は一時的な気の迷いでした。撤回します」と言われてしまうと、引き続き会社に在籍させる必要がでてきてしまい、会社として対処に困ります。
このような事態を防ぐためにはまず退職する従業員から書面で退職届を預かってください。そのうえで「退職を承諾しました」という事実を証明する書類を作成し、本人へ渡してください。
ここまでやれば、退職を撤回される可能性はなくなります。"退職届"と"退職願"で、一方的に退職の意思を示す(撤回不可)のか、あくまで願い(撤回可)なのかの違いはありますが、実務上は全て撤回可という認識で手続をしたほうがよいです。