最新記事
ビジネス

「課金したい」と思わせるブランドストーリーの肝は、「弱さ」の見せ方にあり

2022年4月19日(火)17時18分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ブランドストーリー

patpitchaya-iStock

<Z世代の購買欲をそそるのは、「ソーシャルグッド」であるかどうか。価値を伝えるためには、ブランドの思いをストーリーに乗せて伝える必要がある。その効果的な伝え方をマイクロソフトのストーリーテラーであるミリ・ロドリゲスが伝授する>

ブランディングというと大企業のためのものだと思うかもしれない。しかしビジネス規模に関係なく、消費者はストーリーに「課金」しているという事実をご存じだろうか。

いわゆるZ世代(1990年半ばから2010年代生まれ)は、ブランドストーリーありきで、しかもそれがソーシャルグッドであるかどうかを購買の決め手としている。どんなビジネスであれ、ストーリーテリングが必須になってきているのだ。

ミリ・ロドリゲスは、アメリカの大手IT企業に過ぎなかった地味なマイクロソフトを世界的ブランドに変えたことで知られる。彼女がストーリーテラーとして、マイクロソフトにまず施したのは、企業理念のイノベーションを広げることだった。

「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにエンパワメントする」

企業理念を刷新することは企業全体を新しくすることである。それを効果的に周知させるには? ストーリーテリングの一連の方法をまとめた『BRAND STORYTELLING ブランドストーリーのつくりかた』(CCCメディアハウス)が発売された。

ストーリーは心を動かす。心が動くと、行動につながる。企業理念を刷新することにより、ビジネス方針、パートナー、顧客、そして従業員に関連するあらゆるセクターでのテコ入れを行っていくことになる。

一方で、創業当初から変わらないのは、「エンパワメント」という理念。エンパワメントとは、力を与えることを意味する。ここで大きく変わったのは、顧客だった。顧客自身が、マイクロソフトのサクセスストーリーの体現者になることを望むようになったというのだ。

人はストーリーに課金する

ストーリーは、他の形態の情報に比べて22倍も記憶に残りやすいという研究がある。 神経学分野の研究ではストーリーにふれるとき、私たちは次のようなホルモンを分泌することが明らかになっている。

報酬系の一部として喜びや快楽などの感情を起こす ドーパミン。「ストレスホルモン」として知られ、行動する(戦うか逃げる)ようにしむけるコルチゾール、快楽の感情に関わりがあるエンドルフィン、「愛のホルモン」と呼ばれる神経情報伝達物質で、共感、信頼、性行為や人間関係構築に関わりがあるオキシトシンだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中