「課金したい」と思わせるブランドストーリーの肝は、「弱さ」の見せ方にあり
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<Z世代の購買欲をそそるのは、「ソーシャルグッド」であるかどうか。価値を伝えるためには、ブランドの思いをストーリーに乗せて伝える必要がある。その効果的な伝え方をマイクロソフトのストーリーテラーであるミリ・ロドリゲスが伝授する>
ブランディングというと大企業のためのものだと思うかもしれない。しかしビジネス規模に関係なく、消費者はストーリーに「課金」しているという事実をご存じだろうか。
いわゆるZ世代(1990年半ばから2010年代生まれ)は、ブランドストーリーありきで、しかもそれがソーシャルグッドであるかどうかを購買の決め手としている。どんなビジネスであれ、ストーリーテリングが必須になってきているのだ。
ミリ・ロドリゲスは、アメリカの大手IT企業に過ぎなかった地味なマイクロソフトを世界的ブランドに変えたことで知られる。彼女がストーリーテラーとして、マイクロソフトにまず施したのは、企業理念のイノベーションを広げることだった。
「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにエンパワメントする」
企業理念を刷新することは企業全体を新しくすることである。それを効果的に周知させるには? ストーリーテリングの一連の方法をまとめた『BRAND STORYTELLING ブランドストーリーのつくりかた』(CCCメディアハウス)が発売された。
ストーリーは心を動かす。心が動くと、行動につながる。企業理念を刷新することにより、ビジネス方針、パートナー、顧客、そして従業員に関連するあらゆるセクターでのテコ入れを行っていくことになる。
一方で、創業当初から変わらないのは、「エンパワメント」という理念。エンパワメントとは、力を与えることを意味する。ここで大きく変わったのは、顧客だった。顧客自身が、マイクロソフトのサクセスストーリーの体現者になることを望むようになったというのだ。
人はストーリーに課金する
ストーリーは、他の形態の情報に比べて22倍も記憶に残りやすいという研究がある。 神経学分野の研究ではストーリーにふれるとき、私たちは次のようなホルモンを分泌することが明らかになっている。
報酬系の一部として喜びや快楽などの感情を起こす ドーパミン。「ストレスホルモン」として知られ、行動する(戦うか逃げる)ようにしむけるコルチゾール、快楽の感情に関わりがあるエンドルフィン、「愛のホルモン」と呼ばれる神経情報伝達物質で、共感、信頼、性行為や人間関係構築に関わりがあるオキシトシンだ。