最新記事

話し方

誰とでも心地の良い「良質な会話」ができる、テクニックより大事な「意識」とは

2022年3月24日(木)17時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
心地よい会話

SunnyVMD-iStock

<何気なく話すだけでなく、「対話について考える」ことで会話は単なる情報の伝達を超えたものになれる。最新刊『話すことを話す』から「考えの基本」を抜粋紹介>

「話し方」をテーマにした本が100万部を超えるベストセラーとなって久しい昨今。私たちは「会話」に対して、これまでとは少し違った価値を求めるようになってきたのではないだろうか。

コロナ禍で会話する方法や場面も変化する中で、ただ単に情報を伝達するための言葉のやり取りではなく、相互に心を通わせるようなコミュニケーションとしての「会話の技術」が模索されているようだ。

著書『女ふたり、暮らしています。』が日本でも話題を呼び、韓国では、毎回作家をゲストに迎えてトークするポッドキャスト「チェキラウト──キム・ハナの側面突破」が人気のキム・ハナ氏。彼女は最新刊『話すことを話す』(CCCメディアハウス)のなかで、そうした互いに心地よく、良さを引き出し合うような化学反応にも似た会話を「良質な対話」と呼んでいる。

そして「良質な対話」をするには、小手先のテクニックや話術ではなく、普段何気なくしている「話すこと」について考えること、意識し始めることが大切なのだと言う。ここでは『話すことを話す』から、「良質な対話のために考えること」について書かれた部分を抜粋して紹介する。

話すことを話す きちんと声を上げるために
 キム・ハナ 著
 清水 知佐子 翻訳
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

■音楽としての話し方

今、ビル・エヴァンスとジム・ホール[いずれもアメリカのジャズミュージシャン。ビル・エヴァンス(一九二九~一九八〇)はピアニスト、ジム・ホール(一九三〇~二〇一三)はギタリスト]の『インターモデュレーション』というアルバムを聴いている。

私は音楽が気になる所では原稿を書けない方で、原稿を書くときは、音楽のない静かな所の方がいい。でも、このアルバムは違う。一日中聴いていられるし、聴きながら筆も進む。

この二人の偉大なミュージシャンがコラボした別のアルバム『アンダーカレント』も好きだけれど、原稿を書くときは『インターモデュレーション』の方がいい。不思議なことに、このアルバムをかけておくと、音楽がないときよりも静かに感じられ、日常的な静けさよりも、もう一段上の静けさに包まれているような気がする。

「インターモデュレーション」は電子・電気用語で、「相互変調」と訳され、二つ以上の周波数が互いに干渉現象を起こすことを意味する。このアルバムのタイトルに本当にぴったりだ。ビル・エヴァンスとジム・ホールは、それぞれ自身の内面をのぞいているようでいて、互いに呼応しながらそれとなく近づいては遠ざかる。決してもつれたり、あふれ出たりしない。私が知っている最も美しくて柔らかい干渉現象だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中