増え続ける日本のFX投資家にもウクライナ情勢が影落とす 新興国通貨投資が抱えるリスクとは?
前回、米利上げが始まった15年以降は、新興国からの資金流出がみられ、トルコリラや南アランド、メキシコペソなどが下落した。15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では18年12月以来の利上げが確実視されている。
「欧州に比べ米国はロシアからの影響が小さい。FOMC後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見では、インフレへの対応を優先するとの発言が出れば、タカ派的な印象になるのではないか」と三井住友銀行のチーフ・マーケット・エコノミスト、森谷亨氏はみる。
資源輸入国には試練
トルコリラ/円は金融先物取引業協会のデータで全通貨ペア中20位と上位ではないが、値動きの良さから個人投資家には根強い人気がある。
1年ほど前からトルコリラ/円の取引をしている福島県在住の男性は「昨年12月にエルドアン大統領の発言を受けてトルコリラが乱高下した際は、反対売買を仕掛けて利益を出せた」と話す。米利上げやウクライナ情勢悪化を受けても、トルコリラの値動きの軽さが魅力だといい、今後もトルコリラ/円の取引を続ける予定という。
ただ、トルコは石油の93%、天然ガスの99%を輸入するエネルギー輸入国だ。通貨安は輸入価格をさらに上昇させるため、資源輸入国の経済を痛撃する。足元で、商品価格が軒並み高騰する中、トルコリラ/円は下落を続けている。トルコの政策金利は14%と高いが、2月の消費者物価指数は前年比54%上昇だ。
宮城県在住の会社員の男性は、トルコリラの取引を止めた。高金利に魅力を感じて10年以上前からトルコリラ/円の取引を中心に行っていたが、昨年末のトルコリラ暴落やウクライナ情勢の悪化をきっかけに手を引いた。現在は、豪ドル/円やニュージーランドドル/円など資源国通貨を手掛けているという。
バークレイズ証券の為替ストラテジスト、ラムスレン・シャラブデムベレル氏は、「インドやトルコなど、資源輸入国にとって、資源高は経常収支の悪化につながる」と指摘。過熱気味の商品価格は波乱含みだが、資源国とそれ以外の国の通貨で明暗が分かれる可能性があるとの見方を示している。
(浜田寛子 編集:伊賀大記)
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