中国東方航空のボーイング機事故、737MAX運航再開に影響も
中国東方航空のボーイング737─800旅客機が墜落し、人命が失われたことは、2度の墜落事故で運航停止となった小型機「737MAX」の中国での運航再開を目指すボーイングの努力に水を差し、製造済みの737MAX、140機余りの中国側への引き渡しにも影響する恐れがある。写真は737MAXのモデル。広東省珠海で2021年9月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)
中国東方航空のボーイング737─800旅客機が墜落し、人命が失われたことは、2度の墜落事故で運航停止となった小型機「737MAX」の中国での運航再開を目指すボーイングの努力に水を差し、製造済みの737MAX、140機余りの中国側への引き渡しにも影響する恐れがある。
21日に墜落したボーイング737─800は、3年余り前の737MAX墜落の原因となった機器を搭載していない。しかし中国の乗客と、厳格な安全要件を課すことで知られる中国の規制当局は800とMAXを同一視する可能性がある。
中国東方航空は、墜落の原因を調査中だとしている。通常、こうした事故には複数の要因が絡んでおり、専門家は、可能性が疑われる原因について結論付けるのは早計で、特に入手可能な情報が少ない状況では慎重を期すべきだ、と警告している。
737MAXが2018─19年にインドネシアとエチオピアで2度の墜落事故を起こし、多数が死亡すると、中国は真っ先に同機の運航停止に踏み切った。主要な航空機市場でまだMAXの商用運航が再開していないのは中国だけだ。
複数の業界筋によると、東方航空傘下の上海航空向けに製造されたMAXは先に、米ボーイングのシアトル工場から中国・浙江省舟山市の最終仕上げ工場に向けた移送が始まり、MAXの中国での運航再開は近いと受け止められていた。
航空機の飛行状況を追跡するウェブサイト「フライトレーダー24」によると、この機体は15日にグアムに到着し、その後は移動していない。
ボーイングはロイターの取材にコメントを避けた。
CFRAリサーチのシニア・エクイティ・アナリスト、コリン・スカローラ氏は、中国の航空規制当局は安全に関わる問題に対して徹底した態度を取ることで知られ、今回の737─800の墜落でMAXの運航再開がさらに遅れても不思議ではないと述べた。
メリウス・リサーチのマネジングディレクター、ロバート・スピンガーン氏は、事故原因が明らかになるまで中国でのMAXの運航再開が遅れる可能性があると指摘。
中国は新型コロナウイルスの感染がこの2年間で最悪の状況にあり、航空会社は需要が落ち込んでいるため、MAXを新規で手に入れる必要に迫られていない、と業界筋は指摘している。しかし事情に詳しい関係者によると、ボーイングは既に中国の顧客向けに既に140機以上のMAXを製造済みで、中国でMAXの商業運航が再開されれば、即座に納入しようと待ち構えているという。
ボーイングは、今回の事故が中国の事業回復の遅れるにつながる可能性があるか、コメントを控えた。