最新記事

ネット

若者の「食べログ離れ」が止まらない 信頼を失った口コミサイト、ユーザーはインスタやグーグルマップへ

2022年2月12日(土)11時55分
高橋暁子(成蹊大学客員教授) *PRESIDENT Onlineからの転載
マップアプリでのレストランのリコメンドのイメージ

*写真はイメージです VectorFusionArt - iStockphoto

<ネットでの「飲食店の探し方」が変わりつつある。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「食べログなどのグルメサイトは利用者が多い一方、点数やランキングを疑う声も多い。とくに若者は、Google MapやInstagramを使った検索に移りつつある」という──>

若者にとってグルメサイトの優先順位は低い

ネットでの「飲食店の探し方」が変わってきている。

ある50代男性は「新入社員がGoogle Mapで店を探していた」と驚いていた。

「先日、部署のみんなで食事に行ったんです。新入社員に店探しをお願いしたら、Google Mapで会社の近くの店を調べて、評判がいいところをさらにグルメサイトで調べていた。『点数が操作されてるって聞いたことがあるし、両方使うと便利なんで』というので驚きました」

筆者が講義を行う大学の受講生もこう話す。

「飲食店を選ぶときにはいつもInstagramで検索して、おいしそうなところを選ぶことが多い。それから店名で検索して評判を確認する。Google Mapも見るけど、最初にグルメサイトを見ることはない」

こうした大学生は、Instagramで「吉祥寺」「梅田」などの駅名、町名などで検索し、出てきたハッシュタグ(「#吉祥寺グルメ」「#梅田カフェ」)で検索している。投稿された写真の中からおいしそうなもの、食べたいものを探すというわけだ。

なぜ、このような"グルメサイト離れ"が起きているのだろうか。

独禁法違反で食べログ運営会社が訴えられる

グルメサイトの点数やランキングは操作されているといううわさは根深い。

2020年5月、首都圏を中心に焼肉・韓国料理チェーンを運営する「韓流村」が、「食べログ」運営会社であるカカクコムを相手に訴訟を起こした。食べログが評価点を算出する方式「アルゴリズム」を変更した結果、直後からチェーン店の点数評価が軒並み3.50より下になり、1カ月の売上高が2500万円ほど急減。チェーン店を不当差別する独禁法違反行為として、損害賠償とアルゴリズム差し止めなどを求めたのだ。

食べログの点数・ランキングは、各ユーザーの影響度によって重み付けされた点数や評価をベースとして算出されている。点数は毎月第1火曜日と第3火曜日の月2回更新を行って算定するなど、随時変動する。4.00点以上は全体のトップ500前後、3.50点以上4.00点未満は全体のトップ約3%とされ、直接集客力につながるため、飲食店にとっては死活問題となる。

今年1月には、この裁判の過程でカカクコム側がアルゴリズムをチェーン側に初めて開示したことが判明し、話題となった。しかし、営業の秘密に当たるとして一般には公開されておらず、アルゴリズムは依然ベールに包まれている。

その強い影響力を重視し、食べログなど複数のグルメサイトについて実態調査を行ったのが公正取引委員会だ。運営事業者が優越的な地位を利用して参加店舗に対して割引を強要したり、他のグルメサイトとの契約を制限したりしていないか、グルメサイトと飲食店にアンケートと聞き取りを行った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア

ワールド

米を不公平に扱った国、関税を予期すべき=ホワイトハ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中