社員が次々と辞めていく中小企業の3つの特徴
■労働条件が不満
労働条件の不満がある社員が、その改善を求めて退職をするというケースも多く耳にします。労働条件とは給与水準や労働環境のみを指すわけではありません。むしろ給与水準などはあらかじめ提示されているため、理解したうえで働いているはずです。
ここでのポイントは人事制度の"運用面"です。"給与が年功序列で成果に報酬があっていない"、"評価基準が不透明"、"フィードバックがない"などが人材流出しがちな企業の特徴です。
中途採用者の場合は、給与には納得したものの昇給方法や評価方法などの細かい運用は入社してみないと分からないはずです。入社して運用に不満を覚えて退職意向が高まるケースは多いです。
既存社員の場合は、何らかの不満の声は上司や周囲に漏らしている可能性はあります。しかし改善を要望したにも関わらず、変わらない会社への不信感が鬱積し、何かのきっかけで他社へ転職することになってしまうのです。
■将来性が感じられない
将来性が感じられない環境を嫌う傾向は、若手層にとりわけ強いです。将来性は"企業の将来性"と"社員個人の将来性"を指します。
企業の将来性は、現在の業績だけを意味しているわけではありません。むしろ業績に対しての"姿勢"がチェックされています。業績が好調だったとしても、守りの姿勢が強すぎると将来性が感じられないと思われる場合もあります。また、業績が不調な場合も、今までのやり方に固執し現状打破する姿勢がないと、会社を見限る可能性が高いです。
社員個人の将来性は"個人の成長"と置き換えると理解しやすいでしょう。"上司の古いやり方を押し付けられる"、"個々人が勝手に動いていて組織知がない"などが代表的な意見です。会社にいてスキルアップが感じられないと、若手層は時間を無駄にしている感覚になり、もっと腕が磨ける環境を求めるようになります。
社員の定着率を上げるための改善策
では、上記で挙げたような、人材流出が続く企業の特徴に当てはまった場合、どのように対応すれば人材流出を防ぐことができるのでしょうか? 改善するための手掛かりを紹介しましょう。
■メンバーへのヒアリング
人間関係を改善するためには、一気に全てを改善しようとするのではなく、まずは個々の問題から改善することが重要です。
特定の部署に退職者が偏っている場合は、その職場メンバーにヒアリングを行ってください。退職者は本音を言わないことが多いですが、現職のメンバーであれば問題を改善したいと願っているはずです。
ただしセンシティブなテーマでもあるので、ヒアリングに際しては以下の点に注意してください。
・現職メンバーに話を聞く際は1対1で行う
・特定の問題部署へのヒアリングではなく、全社的な風土改善という名目で行う
・匿名性を担保するなど、話したメンバーが不利益を受けないように配慮する
・人物名や問題場面などを具体的に話してもらう
ヒアリングを行うと、話してくれた社員のガス抜き効果も期待できます。少なくとも、"改善しようとしている"姿を見せることで、退職意向がある人が踏みとどまる可能性は高まります。