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仕事ができる人は実践している 「お世話になっております」より効果的なメールの書き出し

2022年1月30日(日)08時00分
安田峰俊(ルポライター、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員) *PRESIDENT Onlineからの転載

たとえば、「お世話になります」「お世話様です」のような、仕事ずれした雰囲気のある書きかたよりも「お世話になっております」のほうがいい。

また、「よろしくお願いします」よりも「よろしくお願い申し上げます」、「ご無沙汰です」よりも「ながらくご無沙汰いたしております」のほうが丁寧になるはずだ。

情緒性に欠けた定型句のセットが効く

②人間的なコミュニケーションをおこないたくない場合

定型句の情感に欠けたイメージを、逆に利用するケースである。

たとえば、金銭の支払いを督促しており、今後は深い関係をむすぶ気がない相手への連絡に「ご家庭の事情で大変な折とは思いますが」とか「先日は○○でのお仕事を拝見しました。今後のご活躍が楽しみです。ところで......」などと、先方の事情への配慮や人間的な温かみを示す必要はない。それよりも、

平素より大変お世話になっております。安田峰俊です。
10万円の支払いがまだですが。
以上、何卒よろしくお願い申し上げます。

こう書いたほうが効果がある。先方の事情はまったく斟酌せずロボットのように金銭を取り立てるという、冷徹な意思を言外に匂わせることができるからだ。

「お世話になっております」と「よろしくお願い申し上げます」という情緒性に欠けた定型句のセットは、平素からまったくお世話になっていなくて当方のお願いをよろしく聞きいれない相手に使うと、意外と効果がある。

自分自身の人生を守る方が大事

③文案を考えるのが大変な場合

たとえば1日に処理すべき事務的なメールが100通近くある、家族旅行中にスマホに飛びこんできたメールにすぐ返事をしなくてはならない、眠かったり体調が悪かったりして複雑な思考が困難である――。といった、各種の「頭や時間を使いたくない」状況のもとでメールを書いているケースだ。

相手が非常に重要な人物で、なんとしてでも人間的な関係を深めたいといった事情でもないかぎり、こういうときは定型表現に頼って楽をしたほうがいい。

常に同じ表現でメールを書く行為は人間味に欠けているかもしれないが、プライベートを犠牲にしたりオーバーワークでつぶれてしまったりするよりはマシだ。他者に人間味を示すよりも、自分自身の人間らしい人生を守ることのほうがずっと大事である。

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