仕事ができる人は実践している 「お世話になっております」より効果的なメールの書き出し
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メールの書き出しには何を書くのが最適なのか。ライターの安田峰俊さんは「『お世話になっております』では意味がない。そのときの状況を踏まえて、『あなただけに話しかけている』ことを感じさせるフレーズを使ったほうがいい」という――。
20年前からなんら変わっていないメールの定型表現
ビジネスシーンにインターネットが普及した直後の時期である2001年4月、『eメールのマナーと常識』(誠文堂新光社)では、社外向けメールの文例が100通近く紹介されている。
そのうち、全体の4割くらいに「お世話になっております」に類似した表現がある。たとえばこんな感じだ。
お世話になっております。○○社の△△です。
昨日は遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
○○様は大の日本酒通とお聞きして選んだ店ですが、
お楽しみいただけましたでしょうか。
酒席ではございましたが、今後の財政改革に関するお話は、
たいへん興味深く拝聴いたしました。いつもながら○○様の
財界情報への精通ぶりに敬服いたした次第です。
何かとお忙しいとは存じますが、折りを見てまたお付き合い
いただければ幸甚に存じます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
20年前の文面ながら、冒頭部の「お世話になっております」と送信者の自己紹介、末尾の「今後ともよろしくお願い申し上げます」という定型表現の3点セットがそろっているので、現代人の目で読んでもほとんど違和感がない。
詳しくは拙著『みんなのユニバーサル文章術』で述べているが、この時期までのビジネスメールの書き方には、「貴社ますますご清祥のことお慶び申し上げ~」という手紙文のような文章形式を使う"堅すぎる派"と、逆に冒頭の挨拶もそこそこに気軽に話しかける"軟らかい派"が存在した。
しかし、「お世話になっております」ではじまるお馴染みのメール定型文は、ゼロ年代前半の比較的短い期間で、"堅すぎる派"と"軟らかい派"の両方を駆逐していく。
2003年の糸井重里氏のジョークがまだ通じる
かつて私が京都の某メーカーの新入社員だった2005年の時点では、すでに社員研修で「お世話になっております」式のメール定型文を教えられていた。もっと早期でも、たとえばコピーライターの糸井重里氏が2003年6月13日に自身のホームページ『ほぼ日刊イトイ新聞』に発表したコラム「オトナ語の謎」には、メールとホームページの話題の直後にこんな記述がある。
いつもお世話になっております。
たとえあなたと私が初対面でも、
いつもお世話になっております。