テスラ、コロナ禍のサプライチェーン混乱でライバルを引き離した「秘密」とは
ライト・テックのケビン・アンダーソン氏によると、一部の既存メーカーは、リスクを伴う半導体の修正や別の半導体工場の製品を使うことには慎重だ。「(既存メーカーの中には)こうした変更で意図せざる結果に見舞われ、多くの時間を費やした過去がある。テスラのような企業は、それほど長い経験を持っていない」と述べた。
垂直統合の進ちょく度
テスラは運転支援システム用の半導体も設計し、座席からバッテリーセルまでさまざまな部品を内製化している。独自の直営販売・サービス・充電施設網もある。
マスク氏は「われわれは車に関して、他のオリジナル製品メーカー(OEM)よりもずっと多くの部分を設計、製造している。彼らは総じて伝統的なサプライベース、私の呼び方ではカタログ・エンジニアリングに向かうので、とてつもなく大胆にはなれない」と指摘した。
セラフ・コンサルティングのアンブローズ・コンロイCEOは「テスラは他のメーカーが望めないほどの水準で車の製造工程をコントロールしている。ヘンリー・フォードが「T型」で最初に成し遂げた(垂直)統合に極めて近い」と述べた。
半導体確保の方法
2020年は多くの自動車メーカーが半導体の発注を削減した。新型コロナウイルスのパンデミックとロックダウン(都市封鎖)が需要に打撃を与えたからだ。
ただ、テスラは需要の急回復を想定し、サプライヤーと共有する生産見通しを決して下方修正せず、そのおかげで半導体不足の局面を乗り切れた、とテスラのカークホーン最高財務責任者(CFO)は語った。
テスラのあるサプライヤーの経営幹部は「余力を持つための在庫を確保するという面で、テスラは他の企業より賢明に振る舞い続けている」と評価している。
ライト・テックのアンダーソン氏は、既存メーカーが部品サプライヤーを間に挟んで半導体メーカーと取引しているのに対して、テスラは半導体サプライヤーと直接取引している分、より素早く動けたとの見方も示した。
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