最新記事

自動車

「ソニーEVは人が乗れる巨大aibo」 自動車の再定義に既存メーカーも注視

2022年1月14日(金)11時00分
ソニーグループが米ラスベガスで公開したEV試作車「VISIONーS02」

ソニーグループの電気自動車(EV)戦略が次第に明らかになってきた。写真は日本時間5日に米ラスベガスで公開した試作車「VISIONーS02」(2022年 ロイター/Steve Marcus)

ソニーグループの電気自動車(EV)戦略が次第に明らかになってきた。専門外である車両自体の開発・製造は他社と協業し、人工知能(AI)や半導体を使ったエレクトロニクスメーカーならではの自動運転技術で付加価値を高める。そこに映像などの自社ソフトや更新プログラムを流し、継続的に収益を得るというものだ。ソニーは犬型ロボットなどでも同様の事業構想を描いており、専門家の中にはソニーのEVを「巨大なaibo(アイボ)」と位置付ける向きもある。

独ボッシュなどが協力

ソニーによると、日本時間5日に米ラスベガスで披露したスポーツ多目的車(SUV)型試作車「VISIONーS02」の主要サプライヤーは、独自動車部品大手のロバート・ボッシュやコンチネンタル、独フォルクスワーゲン傘下の英ベントレー、米半導体大手のエヌビディアやクアルコムなど10数社。さらに、名前を伏せてプロジェクトへ参加している企業も複数あるという。

「ゼロツー(02)」と呼ばれるこの試作車は、ソニーが全体の仕様を決定。各部品メーカーから製品を取り寄せ、カナダの自動車部品大手マグナ・インターナショナル子会社のマグナ・シュタイヤーが組み立てを担った。

ソニーが直接手掛けたのは車内外にセンサーとして搭載するCMOSイメージセンサ―、コンソールの液晶パネル、車内外のデザインやインテリア、オーディオなど。どのメーカーの部品をどの程度使ったか、ソニーの部品がどのぐらい使われているかといった詳細は、一切公表していない。

登壇した吉田憲一郎会長は、「様々なパートナーから、モビリティについて多くのことを学んできた」と語った。自社が保有するセンサーなどの技術と、ゲームや映画といったコンテンツを組み合わせることで「ソニーはモビリティを再定義する、クリエイティブエンタテインメントカンパニーになれる」と宣言した。

狙いはEV本体にあらず

新たな試作車を披露しながら自動車そのものの技術には多く触れず、半導体を多用した安全性の確保、5G接続やデジタルビデオサービスといったコンテンツビジネスを語り続けた吉田会長。その姿から浮かび上がるのは、EV専業の米テスラを含め、車両の進化と量産に経営資源の多くを注ぐ既存の自動車メーカーとは異なる事業モデルだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中