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中国撤退

中国進出の日本企業は、極めて苦しい立場に立たされている

THE XI SQUEEZE ON CEOS

2021年10月12日(火)18時15分
ビル・パウエル(ワシントン)

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米中の国交樹立後に訪米した鄧小平とカーター米大統領(ワシントン、1979年1月) GILBERT UZAN-GAMMA-RAPHO/GETTY IMAGES

経済的な魅力と政治リスク

中国との経済関係と、悪化する地政学的状況とのバランスを取ることは、繊細で複雑な問題だ。世界中の大企業にとって、巨大で豊かな国の巨大な中産階級が自社の製品を購入するというチャイナ・ドリームは、なかなか忘れ難い。

バイデン政権が中国のサイバー攻撃に激怒したとしても、当のマイクロソフトの経営陣は困惑していた。彼らは長年、中国の横暴に耐え、繰り返し中国市場に戻ってきた。

かつては北京や上海の露店で、ウィンドウズのOSやワードなどの海賊版を数ドルで買えた。しかしマイクロソフトは、状況を改善するという中国政府の言葉を信じ、今日まで投資を続けてきた。

7月に日米欧数十カ国がエクスチェンジサーバーのサイバー攻撃について中国を非難したが、その1カ月足らず前にマイクロソフトは中国で4カ所の巨大なデータセンターを新設し、数十億ドルを投資する計画だと報じられた。クラウドサービスを利用する中国企業を取り込もうというのだ。

ここに多国籍企業にとっても各国の政府にとっても、中国政府と付き合うジレンマが凝縮されている。中国がもたらす経済的な機会と現在の危険性を両立させることは、今後の重要な課題になるだろう。

「中国製造2025」の重点分野に挙げられているテクノロジー企業は、特に苦境に立たされそうだ。鄧小平の「改革開放」が「改革閉鎖」に置き換わりつつあると、在中国米商工会議所の元会頭で、現在はコンサルティング会社APCOワールドワイドの大中華圏会長を務めるジェームズ・マグレガーは言う。

なかでもアメリカの半導体メーカーは、中国での事業展開の見直しを迫られている。今後数十年で、魅力的な巨大市場が中国企業に支配される可能性がある。工作機械やロボット、新エネルギー素材など、多くの分野も同じだろう。

多国籍企業とその母国の政府は、最大限の防御策を講じなければならない。つまり、知的財産の窃盗に対し最大限の反撃をして、中国政府が自力で野心的な経済目標を達成するように仕向けるのだ。

そこにチャイナ・ドリームはない。しかし、これが世界中のCEOに突き付けられている厳しい現実だ。

(本誌10月19日号「ドキュメント 中国撤退」特集では、中国と他の国との対立激化に留まらず、規制強化、環境悪化、台湾有事、不動産バブルなど多方面から、今ここにある中国事業のリスクをリポートする)

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