最新記事

エネルギー

欧州の家庭をこの冬大幅な光熱費上昇が直撃 その背景を探る

2021年10月11日(月)16時11分

ただバンク・オブ・アメリカのアナリストチームによると、ロシア国営ガス会社のガスプロムがこの冬、欧州に供給を拡大できる余地は限られる恐れもある。ロシア国内でのガス貯蔵をなお進めている上に、生産量が既に10年来の高水準に迫っているからだ。

先月にはノルウェーのエネルギー企業エクイノール[EQNR.OL]が、欧州向け天然ガス輸出を増やす方針を打ち出した。ノルウェーの欧州向けガス供給量はロシアに次ぐ規模。また英国のガス需要の3分の1弱も供給している。

小売価格が上がるわけ

多くのエネルギー供給企業は最近数カ月で小売料金引き上げを発表し、卸売価格の上昇コストを消費者に転嫁している。

卸売価格は小売料金の大半を占める。例えば英国で消費者が支払う電力・ガス料金のうち、卸売価格のコストは40%に達する。だから卸売価格が大きく上昇すると、供給企業は小売料金を引き上げる事態になり得る。

供給企業は卸売市場で、当日もしくは1日後、数カ月後、あるいは何シーズンも先の受け渡しとなるエネルギーを随時購入できる。その中で価格がいつ割安化するのかを予測し、需要に見合う適切な量を買わなければならない。もし十分な量を確保していなければ、比較的高値の局面で購入量を拡大せざるを得なくなるかもしれない。今年は夏の間ずっと価格が上がり続けていた。

市場に誰か介入が可能か

EU欧州委員会のシムソン委員(エネルギー担当)は、近くEUのガス市場の全面改革案を提示すると話している。

スペインが提案した1つの考えは、EUが4億5000万人の消費者を抱える単一市場としての購買力を生かし、共同でガスを調達して戦略的な備蓄を積み立てるという計画。ただ具体的な仕組みはほとんどが不明だ。

一部の欧州諸国は、この冬に家庭が強いられる負担を軽減するため、補助金や価格上限制、エネルギー企業に対する消費者への利益還元要求といった対策を既に講じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:米相互関税に政治リスク、中間選挙へ共和党に逆

ビジネス

仏サービスPMI、3月改定47.9 7カ月連続の5

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、3月50.9に上方改定 3カ月

ビジネス

独3月サービスPMI改定値は50.9、4カ月連続で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中