欧州の家庭をこの冬大幅な光熱費上昇が直撃 その背景を探る
暖房燃料をガスに依存している英国の場合、2019年に標準的な電力・ガス料金に上限を設ける措置を導入。当時のメイ首相が「ぼったくり」と呼んだ法外な値上げを阻止するのが狙いだった。
もっとも英ガス電力市場監督局(Ofgem)は、家庭向けの最も標準的なエネルギー料金の上限を今月から12-13%引き上げると発表。8日には、来年4月にもまた上限が「相当程度」上がるとの見通しを示した。
英国では、エネルギー供給企業を支えるための「受け皿銀行」創設や公的融資、家庭の負担を減らすための特別な税制といった形の政府介入も提案されている。ただムーディーズ・インベスターズ・サービスは、これらの提案がどのように実行されるか、そして業界にどう影響するかは不透明だとくぎを刺した。
消費者にできること
英国ではエネルギー市場が自由化されてきたため、消費者にとって供給会社の選択肢の豊富さは世界屈指だ。その半面、現在40社前後がひしめく市場で、より小規模な企業は価格高騰に応じて卸売市場を通じて購入した電力をヘッジするための資金が少ない。合計で市場の6%、170万人強の顧客にサービスを提供している9社は9月初め以降、取引を中止している。
消費者は普段であれば、より料金が安い供給企業へ自由に乗り換えることができる。だが消費者団体によると、小規模企業が破綻し、割安な契約を利用できなくなっている以上、上限制度の対象となる標準的な料金が今は最低水準の部類になった。
Ofgemなどの規制当局は消費者に対して、もしも料金支払いに苦しんでいるなら、供給会社に連絡していつどのぐらい払えるかを伝えるよう促している。
より性能の良い断熱材やエネルギー効率の高い照明器具、スマートメーターといった省エネ手段の活用も推奨されているものの、初期投資費用がかかってしまう。むしろ夏場にエネルギー消費自体を減らす方がずっと安上がりだ。
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