環境負荷の少ない「グリーン・リチウム」はEVシフトの救世主か
オーストラリアのバルカン・エナジー・リソースの株価は、ドイツ国内でのDLEプロジェクトからステランティス、ルノーに対してリチウムを供給する計画を8月に発表して以降、40%高騰している。
ハウス・マウンテン・パートナーズの独立系業界アナリストであるクリス・ベリー氏は、これまでに行われた発表を元にすれば、2020年代末にはDLEにより世界のリチウム供給量の4分の1を生産するようになると予測。一方で、すべての技術を同じように評価すべきではないとも指摘する。産業コンサルタントの中には、4分の1よりも高い数値を予想する見解もある。
昨年、世界全体でのリチウム需要は約32万トンだった。2025年までには100万トン、2020年代末には300万トンに達すると予想されている。
「DLE技術を各リチウム鉱床に合わせて応用する際には多くの課題があり、投資家は、それを考慮してこの技術の利点を評価する必要がある」
DLE技術の開発者たちの注目を集めている地域が、ロサンゼルスの南東約258kmに位置するソルトン湖だ。リチウムを豊富に含む超高温のかん水が、サンアンドレアス断層の真上にある同地域の地底に渦巻いている。
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイとエナジーソースは、現地にある既存の発電所にDLE技術を追加し、発電の傍らリチウムを処理する方法を模索している。
また近隣では、株式非公開のコントロールド・サーマル・リソーシズ(CTR)が、ゼネラルモーターズ(GM)への供給を目的とした地熱によるリチウム抽出プロジェクトを進めている。GMでは「当社のリチウム需要のうちかなりの量」をCTRが供給する可能性があるとしている。
このプロジェクトとアルゼンチンで進められている類似案件はライラック・ソリューションズの技術に支えられており、DLE実用化に向けた最初のテストケースの1つと見ているアナリストもいる。
ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのデータによれば、リチウム価格は過去最高に近づいており、新技術の実用化に向けた競争は白熱している。
アルゼンチンのリチウム生産企業オロコブレと提携している株式非公開のエナジー・エクプロレーション・テクノロジーズで最高経営責任者を務めるティーグ・イーガン氏は、「リチウム供給はEVへのシフトにとって主要なボトルネックになっているが、DLEが供給拡大につながる可能性がある」と話している。
(Ernest Scheyder記者、翻訳:エァクレーレン)
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