起業の成功に必要なもの...資金・コネ・知識・経験より大事な4箇条
Starting Your Own Business
当然ながら自信はなかった。それでも自分のアイデアを実現するには、不安と向き合いつつ一歩を踏み出すしかない。最初から大きな構想を描くのではなく、目の前の課題を1つずつクリアしていった。
まずはキッチンで自分が作った飲み物をどうボトル詰めするか。そして、それを地元の店に置いてもらうにはどうすればいいか。
地元の店で手応えを感じたら、次はもっと多く消費者に買ってもらえるよう販路を広げる方法を探り、オンライン通販も始めることになる。そうやって一歩一歩地固めしていくうちに自信が付いて、不安や迷いは消えた。
とはいえ、克服すべきは自分の不安だけではない。会社を起こすと言えば、周囲は心配する。私も家族や友人にいろいろ言われた。特に最初のうちは自分も自信がないため周囲の意見に振り回されがちだ。そこで、言われたことを整理して役に立つアドバイスだけ採用することにした。
周囲の人はあなたがリスクを冒し失敗することを心配しているのだ。でも忘れないで。成功する起業家の条件は、リスクを恐れず挑戦する能力だ。
とことん消費者目線で
サービス業であれ小売業であれ、ビジネスを成長させるカギは消費者を知ることにある。消費者が何を必要としているのか、何が彼らを動かすのかを理解しよう。
優秀な起業家は、常に消費者を見ている。私はスーパーのドリンク売り場を何時間も回っては買い物客と話をし、カスタマーサービスに届いたメールに目を通す。消費者目線で物事を見たいなら、彼らとの対話は欠かせない。
ヒントのフレーバーウオーターを発売した直後、1人の男性からメールが届いた。ヒントを飲んで気に入った彼は、興奮冷めやらぬまま容器に記載されたカスタマーサービスのアドレスにメールをくれたのだ。当時のヒントは零細企業だったから、こうしたメールも経営者の私が全て読んでいた。
男性は2型糖尿病を抱えており、甘味料無添加でしかもおいしいドリンクを探していた。ほかに病気はなく、人工甘味料が糖尿病の引き金になったと考えていた。
米疾病対策センター(CDC)は現在、アメリカ人の40〜45%が2型糖尿病かその予備軍だとしているが、05年当時、2型糖尿病を自覚していた患者は1・5%ほどだった。
男性とのやりとりから、私はひらめいた。私が開発したフレーバーウオーターは、慢性疾患に悩む人の助けになれるかもしれない──。
製品がどんな問題の解決に役立つのかを知ることは、非常に重要。製品に関心がある人々とのコミュニケーション手段を確保するのも大切だ。