最新記事

投資

中国恒大、23日分の利払い約92億円の実行困難に 米時間で期限迫るも説明なし

2021年9月24日(金)11時02分
中国の不動産開発大手、中国恒大集団

資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団に対し、中国当局が、当面ドル建て社債のデフォルトを回避するよう指示したことが分かった。香港で8月撮影(2021年 ロイター/Tyrone Siu)

中国の不動産開発大手、中国恒大集団の資金繰り問題を巡り、債権者の一部は23日の期限に利払いが実施されるとは期待していないことが、関係者の話で分かった。

中国恒大集団はこの日、20億ドルに及ぶオフショア社債の利息として8350万ドルを支払うことになっている。また、来週には4750万ドルのドル建て債利払いが控えている。

事情に詳しい関係者によると、一部の債券者は23日の利払いが実行される期待を捨てたという。あるドル建て債保有者は、アジア時間の23日深夜になっても利払いを受けていない。また、米東部時間でも利払い期限が迫る中、中国恒大から何の情報もなく、広報担当者からのコメントも得られていない。

債権者からは、来月にかけて何らかの説明を期待するとの声が上がっている。

ブルームバーグ・ローは23日、中国当局が同社に対し、当面ドル建て社債のデフォルトを回避するよう指示したと報じた。

報道によると、当局は恒大集団の経営陣との会合で、デフォルト回避に向けて債権者と積極的にコミュニケーションを図るべきと述べた。ただ、具体的な指針は示さなかったという。

ゴールドマン・サックスのアジア新興市場責任者、コナー・ユアン氏は、「当局は今すぐデフォルトを望んでいない」と指摘。「30日間の猶予期間があることを考えると、きょう利払いが実行されない可能性は非常に高く、今後30日間で行う可能性がある」と予想した。

一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは23日、関係筋の話として、中国当局が地方自治体に対し恒大集団の破綻に備えるよう求めていると報じた。

また、これとは別にブルームバーグは、恒大集団の電気自動車(EV)部門が従業員への給与とサプライヤーへの支払いを停止していると報じている。

  BNPパリバUSAのジャン・イブ・フィリオン最高経営責任者(CEO)は23日、CNBCに「中国恒大は深刻な状況にあるが、セクターという点では主に中国国内の不動産部門とその取引先に集約されている」とし、「歴史的に中国政府はこの種の状況に対処し、解決してきた。中国恒大の状況と堅調な米株市場との関連性はあまり大きくないと考えている」と述べた。

中国恒大の許家印主席は22日夜の社内会議で、同社の理財商品の投資家への償還が最優先事項だと述べたほか、確実な不動産の引き渡しを幹部に指示した。これを受け、株価は一時30%上昇した。

オスカー・アンド・パートナーズ・キャピタル創業者で最高投資責任者のオスカー・チョイ氏は、中国恒大が警戒しているのは建設事業が進められず、作業員に給与を支払えず、個人投資家が損失を被ることで社会的緊張をあおることだと指摘。こうした優先事項が解決できれば、同社は他の債権者と協議を行うと予想し、「そうでないと、数十万人が政府と争うことになる」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中