ベネズエラ、ハイパーインフレ回避で暗号資産に走る市民
ベネズエラの電力価格が非常に安い点からすると、大量の電力を消費する仮想通貨の「採掘」は追加的な収入を得る魅力的な方法であると言える。しかし、平均的な国民に採掘機器を買う余裕などない。
同国における仮想通貨の一番の利用方法は、数週間、あるいは数日で銀行預金の価値を急減させるインフレに対するヘッジだ。バリューの試験プログラム責任者、アレハンドロ・マチャド氏は「バリューは直接ペソとボリバルを交換する代わりに、ビットコインを売買する。なぜならそうした通貨は、規制された市場で手に入らないからだ」と述べた。
ローカルビットコインのデータをブロックチェーンアドバイザーのユースフル・チューリップスが分析したところ、そこで取引される中南米通貨の中では、ボリバルの取引規模が最大であることが判明している。
もっとも仮想通貨トレーダーや専門家によると、世界最大の仮想通貨取引所でさまざまなトークンの取引サービスを提供するバイナンスの人気が高まるとともに、ローカルビットコインの売買は減少しているという。
バイナンスが提供するサービスには、米ドルなど特定資産に連動して安定的な価値を維持し、多くの仮想通貨が持つボラティリティーを避けられる「ステーブルコイン」も含まれる。
バイナンスの広報担当者は、5月以降に同社の個人間取引プラットフォームでボリバル建て取引は75%増加しており、ビットコイン価格が5月初めに急落した後では、中南米通貨で唯一取引が上向いていると説明した。
取引の主体はほとんどが企業
米国ではピザハット、チャーチズチキンといったファストフードチェーンや一部スーパーなどがビットコイン、ダッシュなどの仮想通貨を決済手段として受け入れつつあり、ショッピングモールなどには有名な仮想通貨のロゴが並ぶ光景が見られる。
ただ、エコノミストで金融専門家のアーロン・オルモス氏によると、ベネズエラの場合、仮想通貨取引はあくまで企業がインフレに対処するためのボリバルとの交換が大半を占める。「仮想通貨はひどい経済状況を一時的にしのぐ方策として利用されているが、取引主体はほとんどが企業だ」という。
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