テスラ車、ビットコインで購入可能に? どうなる決済の仕組み
米電気自動車(EV)大手テスラは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインを使ったテスラ車購入を近い将来に可能にする考えを示した。上海のテスラのショールームで2019年1月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)
米電気自動車(EV)大手テスラは8日、暗号資産(仮想通貨)ビットコインを使ったテスラ車購入を近い将来に可能にする考えを示した。実現すれば、実社会でのビットコインの決済利用が広がる可能性がある。
ビットコインは近年、知名度こそ高まったが、依然として決済手段というよりは投資商品としての利用が主流だ。
外部の決済業者を介してビットコインによる商品購入を認めている大手企業は少数存在するが、テスラは自社の投資ポートフォリオに仮想通貨を組み入れる計画の一環として、ビットコインを直接受け取る可能性を示唆した。
テスラは規制当局に提出した四半期報告書でこの計画に言及。15億ドル相当のビットコインを購入したことも明らかにした。顧客がビットコインでテスラ車を購入した場合、テスラはそれをすぐに現金化する可能性も、しない可能性もあるとしている。専門家はこれについて、テスラが少なくとも一部のビットコインを自動的には売却せず、保持する可能性を示唆していると指摘する。
テスラの広報担当者は詳細についてコメントの求めに応じていない。
第三者が仲介か
テスラが他の大手企業と同様の方法でビットコインによる支払いを受けると仮定すれば、顧客は自身の「デジタルウォレット」から第三者機関にビットコインを送り、この機関がそれをドルなどに交換してテスラに送る形になる。
例えばAT&Tやマイクロソフトなどは、仮想通貨決済処理のビットペイを通じてビットコインを受け付けてきた。ビットペイの担当者は、高級車ディーラー向けに決済を支援したことはあるが、現時点でテスラとの取引はないと述べた。
消費者は、仮想通貨をあらかじめドルに交換する決済カードを利用して、ビットコインを正式に受け付けたことのない店から商品を購入することもできる。
デジタル通貨の支持者で仮想通貨ソフトウエアを手掛けるトークンソフトの最高経営責任者(CEO)、メイソン・ボルダ氏は、シェイクペイという企業を通じて2016年にテスラの「モデル3」をビットコインで購入したと明かす。1回限り使用可能なクレジットカードに自身が保有するビットコインをアップロードし、テスラには現金が支払われた。
だが、ボルダ氏はこれを後悔しているという。当時およそ400ドルだったビットコインの価値は、8日時点で4万4000ドルを超えている。つまり、同氏がモデル3の支払いに使った13万ドル相当のビットコインは、今では1400万ドル以上の価値になっているということだ。
ボルダ氏は「ビットコインで高額商品を買うのは勧めない」と話す。ビットコインで買い物をするという「目新しさ」は、価格が急上昇すればすぐに薄れると忠告する。