バイデン、約200兆円規模の追加経済対策案 期待と財源への不安が交錯
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バイデン次期米大統領が発表した1兆9000億ドル規模の追加経済対策案は、投資家にとって「もろ刃の剣」となるかもしれない。写真はデラウェア州ウィルミントンでスピーチするバイデン氏(2021年 ロイター/Tom Brenner)
バイデン次期米大統領が発表した1兆9000億ドル規模の追加経済対策案は、投資家にとって「もろ刃の剣」となるかもしれない。米経済持ち直しへの楽観的な見通しを維持してくれるが、同時に財源をどうやってねん出するかという懸念も浮上するためだ。
5日のジョージア州上院選決選投票で、次期政権与党となる民主党の候補2人が勝利して同党が上下両院を制することが決まってからの1週間で、追加対策期待を背景にS&P総合500種は3%近く上昇した。
しかしその裏で米国債は価格が下落。資金手当てに向けた国債増発は不可欠との観測から、10年国債利回りは昨年3月初め以来の高水準に達し、経済全般の借り入れコストを押し上げつつある。
LPLファイナンシャルの株式ストラテジスト、ジェフ・ブックバインダー氏は「現時点では市場は追加対策をはやし、全面的な景気回復への架け橋が強化されると歓迎している。(ただ)逆に見ると、株価を圧迫しかねない金利高騰もしくは増税という代償を、市場が払う必要が出てくる可能性がある」と指摘した。
既に一部の投資家は、株価水準の高さに警戒感を抱いている。向こう1年の業績がよほど堅調でない限り、跳ね上がった株価収益率(PER)を正当化できないからだ。ファクトセットによると、S&P総合500種銘柄のPERは足元で22.3倍と、2000年3月ごろに記録した過去最高の24.4倍に迫っている。
S&P総合500種は年初来では約1.1%の下落。この間、経済対策で恩恵を受ける景気敏感株が10%強上昇した半面、昨年の「勝ち組」だったハイテク株は1%近く下げた。ハイテク企業など、より長期的な利益が想定される成長株を脅かすのが金利上昇だ。
先送りのつけ
さまざまな救済措置を盛り込んだ今回の経済対策案は、新型コロナウイルスの感染者が急増し、企業や投資家がパンデミック収束時期の見通しを後退させている中で打ち出された。米労働省が14日発表した先週の失業保険新規申請件数は96万5000件と、昨年8月以降で最も高い水準となり、ロイターがまとめたエコノミスト予想の79万5000人を大幅に上回った。昨年12月の非農業部門雇用は、8カ月ぶりに前月比で減少している。