米政府vsフェイスブック、証拠をそろえ「独禁法」違反で法廷へ
The FTC Takes on Facebook
米議会の公聴会でリモート証言するフェイスブックCEOのザッカーバーグ(10月28日) MICHAEL REYNOLDS-POOL-REUTERS
<インスタグラムとワッツアップの分離、競合製品の開発業者に対するアクセス制限の停止を求める米連邦取引委員会に対し、創業者ザッカーバーグは徹底抗戦の構え>
ついにアメリカ政府が伝家の宝刀を抜いた。しかし敵もさる者、迎え撃つ備えにぬかりはない。
去る12月9日、米連邦取引委員会(FTC)はフェイスブックを独占禁止法違反の疑いで提訴し、SNS業界での支配的地位を守るために同社が長年にわたり不法な手段で競争を阻害してきたと非難した。具体的には2012年のインスタグラム買収と14年のワッツアップ買収、そしてソフトウエア開発業者に対する各種の圧力を「独占的」行為と認定している。
FTCは同日の声明で、未来のライバルたちが「フェイスブックにつぶされるという恐れ」なしに活動できる状態を回復したいと述べ、同社に対してはインスタグラムとワッツアップの分離と、競合製品の開発業者に対するアクセス制限の停止を求めるとした。
フェイスブックは2012年にインスタグラムを10億ドルで、14年にワッツアップを190億ドルで買収した。しかも当時、FTCも反対しなかった。「何年も前に買収を承認したのに、今になってFTCはやり直しを求めている」。同社の広報チームはツイートでそう反論し、ユーザーを無視した暴挙だと非難した。
しかしFTCは、フェイスブックによるツイッター買収工作(失敗に終わった)や競合他社からの証言、大量の社内メールなど、疑惑を裏付ける証拠をそろえている。創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグが「競争するより買収してしまえ」と述べた2008年の電子メールも握っている。
周到に対抗策を準備
会社分割を狙う当局との戦いに備え、フェイスブックは何年も前から策を練ってきた。2019年にはザッカーバーグが独禁法違反による提訴を会社の「存続に関わる」脅威と呼び、徹底抗戦を誓った。
報道によれば、ザッカーバーグは2019年、インスタグラムとワッツアップ、フェイスブックメッセンジャーのインフラ部分を共通化し、どのプラットフォームでも相互に送受信できるようにする作業を急げと指示している。そうすればどのユーザーもフェイスブックの世界に囲い込め、自分の目が届きやすくなるからだ。
既にフェイスブックマーケットプレイスで売買する人たちの交信をワッツアップ経由にしている。こうして各種サービスを絡ませてしまえば、分割はますます難しくなる。この9月にはインスタグラムのユーザーがフェイスブックメッセンジャー上でチャットできるようにもしている。