グーグル提訴は序の口 IT企業の搾取的ビジネスモデルをどう規制するか
Time to Regulate Big Tech
グーグルの提訴をIT業界の搾取的ビジネスモデルの規制につなげなければならない BRIAN SNYDER-REUTERS
<フェイスブックなどの暴走を止めるには、GDPRのようなプライバシー保護の仕組みが必要。米規制当局は次に、インターネットの透明性も高めなければならない>
米司法省は10月20日、ネット検索と広告の分野で公正な競争を妨げているとしてIT大手のグーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。市場の独占を武器に社会を食い物にしてきたとされる巨大企業の精査は、世界的に歓迎すべき動きだ。
アメリカは過去10年間にインターネット上で表面化した最大の課題に対処するため、ネット規制の包括的アプローチを推進しなければならない。今回の提訴は重要な動きだが、法の網が捉えるべきはグーグルのみではない。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、ネット規制の重要性はさらに高まっている。新型コロナは「仮想経済」への移行を加速させた。仕事や学校はかなりの部分がオンラインに移行。遠隔医療サービスは拡大した。ネットショッピングは急増した。
私たちの生活は根本的に変わるのか。新しい日常はどんなものなのか。答えはまだない。だが短期的に見れば、オンラインでの情報交換が世界中で拡大し、さまざまな企業や学校、保険会社などがより多くの個人情報を共有しつつあることは明らかだ。
こうした動きは全て、ほぼ規制ゼロのオンライン・プラットフォーム上で起きている。デジタルコミュニケーションが社会の基本サービスになりつつある今、私たちは誰が個人情報にアクセスして、それをどのように利用するのかを問う必要がある。
私たちは毎日同じソーシャルメディアやビデオ会議を使い、検索エンジンで調べものをする。その結果、これらのサービスを提供する企業は、競合他社を排除し、ますます経済的に強くなる。
EU並みのデータ保護を
さらに巨大IT企業は、データを吸い上げ、それを分析して売れる「情報」に仕立て、インターネットを自社の利益を最大化するために都合のいい空間に作り替えようとしている。私たちがネット上で何を見て、何を消費するかを独占的にコントロールしようとしているのだ。
今回の大統領選でドナルド・トランプ現大統領が再選されても、民主党のジョー・バイデン前副大統領が勝利しても、アメリカの次期政権はこの緊急事態に対応しなければならない。議会と協力して、意味のあるネット規制法を成立させなければならない。