最新記事

金融

ヘッジファンド、保険株投資に回帰 コロナ禍で保険料率が高騰

2020年10月10日(土)11時57分

ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。ロンドンの金融街で9月撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)

ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。保険セクターは新型コロナウイルスの影響で保険料率が急上昇し、「コロナ後」を巡るセクターの見通しが改善したためだ。

保険会社は新型コロナのパンデミック発生で、代金の未払いやイベントのキャンセルなどに伴う保険金支払い請求の急増に直面。一部は不採算の事業から撤退した。しかし踏みとどまった保険会社にとっては、コロナ禍で保険料率が跳ね上がる局面が訪れた。料率の上昇は保険市場の「ハード化」と呼ばれ、大災害の後に起きるのが一般的だ。

大手保険仲介業者マーシュによると、4-6月期の保険料率の前年同期比上昇率は19%と、統計を取り始めた2012年以来で最も高かった。


英ヘッジファンドのトスカファンドは5年前に保険株を売却。しかし保険セクターは最近魅力が高まっており、再び購入に動いている。

パートナーのナイジェル・グリクステン氏は「当社は今年になって保険セクターに戻ってきた。市場の急激なハード化で恩恵を受けると考えられる銘柄のセクター内比重は15%(程度)になっている」と述べた。

株価なお低迷

保険市場の見通しの変化はまだ株価に反映されていない。欧州保険株指数<.SXIP>は年初来の下落率が25%で、09年以来で最も大きい。トスカファンドが運用する株式ロングショートファンドが保有する主要な保険銘柄、ランカシャーとルネッサンス・リーはいずれも株価が5月末の安値付近に低迷し、年初来の下落率は10%を超える。

カッパー・ストリート・キャピタルなどのファンドも保険市場の変化を見込んで投資している。パートナー兼最高投資責任者ジェリー・デル・ミッシアー氏は、最近採用した保険アナリストが今年末に仕事を始めると明かした上で、保険セクターはコロナ禍で「困難とチャンス」が両方とも一気に高まり、それなりのリスクを伴う半面、相応のリターンが期待できると予想した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物は下落に転じる、貿易戦争の影響見極め

ビジネス

中国GDP、第1四半期は前年比+5.4% 消費・生

ビジネス

報復関税、中国の医薬品価格押し上げか 大手各社が米

ビジネス

午前のドルは142円後半へ小幅安、日米交渉前に手控
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中