ヘッジファンド、保険株投資に回帰 コロナ禍で保険料率が高騰
ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。ロンドンの金融街で9月撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)
ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。保険セクターは新型コロナウイルスの影響で保険料率が急上昇し、「コロナ後」を巡るセクターの見通しが改善したためだ。
保険会社は新型コロナのパンデミック発生で、代金の未払いやイベントのキャンセルなどに伴う保険金支払い請求の急増に直面。一部は不採算の事業から撤退した。しかし踏みとどまった保険会社にとっては、コロナ禍で保険料率が跳ね上がる局面が訪れた。料率の上昇は保険市場の「ハード化」と呼ばれ、大災害の後に起きるのが一般的だ。
大手保険仲介業者マーシュによると、4-6月期の保険料率の前年同期比上昇率は19%と、統計を取り始めた2012年以来で最も高かった。
英ヘッジファンドのトスカファンドは5年前に保険株を売却。しかし保険セクターは最近魅力が高まっており、再び購入に動いている。
パートナーのナイジェル・グリクステン氏は「当社は今年になって保険セクターに戻ってきた。市場の急激なハード化で恩恵を受けると考えられる銘柄のセクター内比重は15%(程度)になっている」と述べた。
株価なお低迷
保険市場の見通しの変化はまだ株価に反映されていない。欧州保険株指数<.SXIP>は年初来の下落率が25%で、09年以来で最も大きい。トスカファンドが運用する株式ロングショートファンドが保有する主要な保険銘柄、ランカシャーとルネッサンス・リーはいずれも株価が5月末の安値付近に低迷し、年初来の下落率は10%を超える。
カッパー・ストリート・キャピタルなどのファンドも保険市場の変化を見込んで投資している。パートナー兼最高投資責任者ジェリー・デル・ミッシアー氏は、最近採用した保険アナリストが今年末に仕事を始めると明かした上で、保険セクターはコロナ禍で「困難とチャンス」が両方とも一気に高まり、それなりのリスクを伴う半面、相応のリターンが期待できると予想した。