ヘッジファンド、保険株投資に回帰 コロナ禍で保険料率が高騰
コロナ禍「ニューノーマル」に見合う商品
新型コロナの流行や気候変動による災害が「ニューノーマル」となる世界では、将来のロックダウン(都市封鎖)や従業員の感染で事業が困難になった場合に役立つ革新的な保険商品が魅力を発揮する、と投資家は考えている。
保険会社は、株価こそ引き続き低迷しているが、高い信用格付け(通常はシングルA格)のおかげで今年の社債発行の大部分は応募超過だ。
英レスコ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アレックス・イベントン氏は、高利回りの制限付きTier1(RT1)劣後債について「当社のようなマクロ投資家にとって興味深い資産クラスだ」と述べた。投資の詳細には触れなかった。
今年RT1社債を発行した保険会社にはアジアス、リーガル・アンド・ジェネラル、フェニックスなどがある。
一方、保険業界筋によると、ヘッジファンドは大災害のリスクを証券化した「カタストロフィー債(大災害債、CATボンド)」を大量に購入している。
自然災害が発生した際に、CATボンド投資家は返済を受けられない。ただヘッジファンドは同債の高い利回りに惹かれているという。
エーオンによると、今年上半期に世界で発行されたCATボンドは総額65億ドルで、既に2019年全体を20%上回った。
業界のコロナリスクにめど
ヘッジファンドのマネジャーによると、保険市場は春の終わりごろには変化し始めていたが、新型コロナのリスクがはっきりしてきたのは最近になってからだ。
米国の複数の裁判所では、新型コロナ流行で事業休止に追い込まれた事業主が、保険金支払い請求を拒否した保険会社に対して起こした訴訟の審理が始まった。英国では、今後控訴審での係争が続くとはいえ判決が出た裁判もあり、新型コロナのリスクがもっと明確になりそうだ。
ヘッジファンドのマネジャーは「今はこうしたリスクについて安心感が強まっただけでなく、具体的に数値化されつつある」と話した。
(Maiya Keidan記者、Carolyn Cohn記者)
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