最新記事

金融

ヘッジファンド、保険株投資に回帰 コロナ禍で保険料率が高騰

2020年10月10日(土)11時57分

コロナ禍「ニューノーマル」に見合う商品

新型コロナの流行や気候変動による災害が「ニューノーマル」となる世界では、将来のロックダウン(都市封鎖)や従業員の感染で事業が困難になった場合に役立つ革新的な保険商品が魅力を発揮する、と投資家は考えている。

保険会社は、株価こそ引き続き低迷しているが、高い信用格付け(通常はシングルA格)のおかげで今年の社債発行の大部分は応募超過だ。

英レスコ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アレックス・イベントン氏は、高利回りの制限付きTier1(RT1)劣後債について「当社のようなマクロ投資家にとって興味深い資産クラスだ」と述べた。投資の詳細には触れなかった。

今年RT1社債を発行した保険会社にはアジアス、リーガル・アンド・ジェネラル、フェニックスなどがある。

一方、保険業界筋によると、ヘッジファンドは大災害のリスクを証券化した「カタストロフィー債(大災害債、CATボンド)」を大量に購入している。

自然災害が発生した際に、CATボンド投資家は返済を受けられない。ただヘッジファンドは同債の高い利回りに惹かれているという。

エーオンによると、今年上半期に世界で発行されたCATボンドは総額65億ドルで、既に2019年全体を20%上回った。

業界のコロナリスクにめど

ヘッジファンドのマネジャーによると、保険市場は春の終わりごろには変化し始めていたが、新型コロナのリスクがはっきりしてきたのは最近になってからだ。

米国の複数の裁判所では、新型コロナ流行で事業休止に追い込まれた事業主が、保険金支払い請求を拒否した保険会社に対して起こした訴訟の審理が始まった。英国では、今後控訴審での係争が続くとはいえ判決が出た裁判もあり、新型コロナのリスクがもっと明確になりそうだ。

ヘッジファンドのマネジャーは「今はこうしたリスクについて安心感が強まっただけでなく、具体的に数値化されつつある」と話した。

(Maiya Keidan記者、Carolyn Cohn記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中