最新記事

インタビュー

パンデミックの今こそビジネスを始める好機──米著名起業家マーク・キューバンの提言

THE CONTINUING EDUCATION OF MARK CUBAN

2020年8月19日(水)18時50分
ジョーダン・ハービンジャー(ジャーナリスト)

今がビジネスを始める好機だと語るキューバン PHOTO ILLUSTRATION BY NEWSWEEK JAPAN, SOURCE PHOTO BY STEVE MARCUS-REUTERS

<著名起業家が語る学び続けることの大切さ、人種差別抗議デモへの思い、そして経済戦争の戦い方まで>

著名な起業家で、NBAのダラス・マーベリックスのオーナーでもあるマーク・キューバンは、起業志願者のプレゼンを受けて投資先を決めるABCの人気番組『シャーク・タンク』のレギュラー出演者でもある。歯に衣着せぬ発言で知られる彼がジャーナリスト、ジョーダン・ハービンジャーのポッドキャストに出演。人種差別への抗議運動に対する考えや、彼ならではの起業家論、中国との経済戦争などについて語った。

コロナ禍における経営者へのアドバイス

私が言うのはいつも同じだ。まず、隠し事をしないこと。2つ目は誠実であること。3つ目は信頼に足る人間であること。4つ目は話をすることだ。誰もがパニックになっている今こそ対話しなければ。誰もが怯えているときにその恐怖と向き合う最良の方法は、みんなが1つになることだという点を心得るべきだ。

ビジネスは、自分が大切だと思う価値観を共有できる相手と行いたいものだ。また、従業員や株主を大事にしなければ、あなたのブランドには永遠に傷が付く。若い子たちはこれから何十年もその傷ついたイメージを抱き続けることになるのだから。自分たちを世間にどう見せ、社会とどう向き合い、従来型のトップダウンではなくボトムアップで事業をどのように進めていくかが、その後何十年にもわたる自社ブランドを定義付けることになるという点を大企業は理解しつつあると思う。

人種差別への抗議運動が起きるのは時間の問題だった

人々は怒っている。(アメリカ社会には)組織的な人種差別が存在する。ストレスが解き放たれた原因は、生まれてこの方ずっと不利な立場に置かれてきた人々の、日々対処しなければならない心配と不安だ。

4000万人もの人々が職を失い、時短勤務や賃金カットに見舞われた人に至っては数え切れない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の到来で、マイノリティー社会は大きな打撃を受けた。医療従事者のうち、マイノリティーはかなりの割合を占める。つまりコロナとの戦いの最前線には(人種・民族的な)不均衡が存在するのだ。それだけで大変なストレスだ。

(公民権運動の指導者)マーチン・ルーサー・キングは、暴動とはそれまで耳を傾けてもらえなかった人々の声だと述べた。驚くとしたら、ここに至るまでにこれほど長い時間がかかったということだ。

【関連記事】日本人には分からない人種差別問題のマグニチュード
【関連記事】ユヴァル・ノア・ハラリ×オードリー・タン対談(1/3)──「ピンクのマスクはカッコいい」、誰もがルールづくりに参画できる社会の到来

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中