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コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学

アベノマスクと2008年金融危機、ゲーム理論で比べて見えたもの

GAME THEORY

2020年5月27日(水)16時50分
松井彰彦(東京大学大学院経済学研究科教授)

預金保険は取り付けを防ぐ効果的な方策である。皆の預金を保証してあげると、誰も心配になって預金引き出しに駆け込まなくなる。その結果、預金保険からお金を出すまでもなく、取り付けを防ぐことができる。人々の行動原理を読み解くことによって、2008年には最小コストで大恐慌を防ぐことができたのである。

マスク問題においてこの預金保険に相当するものは、政府によるマスクの大量確保と配給、そして供給不足の早期解消を国民にアピールしたことであろう。今回の政府の施策が預金保険同様に効果的だったとは言い難い。マスク2枚ですら供給がうまくできなかった上、政府がいくらマスクは足りると言っても、店頭に必要な分がない以上、その言葉を信じても意味がないことが理由だろう。

コロナ問題はまだ続く可能性がある。政府が効果的な対策を採ることができるか。その成否は為政者が人々の行動原理を読み解くことができるか否かに懸かっている。

<2020年6月2日号「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集より>

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2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

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