株式市場はコロナショックからコロナバブルへ 実体経済と乖離する過剰流動性相場
ITバブルの再来か
一方、海外勢が今のところ日本株を見送っていることについて「市場にGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの米大手IT4社)がないのが最大の理由」と三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則広氏は分析する。
米国株式市場では既に、ナスダック指数が2月最高値から85%以上の戻りを演じているが、リードしたのは、いわゆるGAFAなどテクノロジー企業だ。
藤戸氏は「日本株も堅調を保てば組み入れざるを得なくなることから、やがて海外のハイパーマネーが流入してくる。それが『おこぼれ』の形であっても株価にインパクトを与えそうだ」とみている。
個人と海外勢の買いが合わされば「かつてITバブルの時のような状況が先行き起きる可能性が十分ある」と、東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏は指摘する。
歴史上、バブルの背景には、必ずと言っていいほど緩和的な経済政策がある。今回も、未曽有の金融緩和と財政支出により、大規模なマネーが生み出されている。「当面は各国の空前規模の施策によって生み出されたジャブジャブの余剰資金が、世界中のマーケットで滞留する可能性がある」(国内証券)との見方は少なくない。
今後も実態からかけ離れる形で株価が上昇するようであれば、「コロナバブル」、「第2ITバブル」、「GAFAバブル」などと呼ばれる可能性が大きい。どの呼称が定着するかはわからないが、いずれにせよ、過剰流動性相場的な様相を強めることは間違いなさそうだ。
(編集:石田仁志)
【関連記事】
・東京都、3段階で休業解除へ 感染増加すれば東京アラートでレインボーブリッジ赤点灯
・東京都、新型コロナウイルス新規感染14人に急増 緊急事態宣言解除の目安、3項目中2項目が基準下回る
・コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」
・韓国クラスター発生の梨泰院、BTSメンバーら芸能人も 感染者追跡の陰で性的マイノリティへの差別も
2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。