国産人工呼吸器、増産で実績見せたい安倍政権に現場は苦慮「パイロットいないのに戦闘機だけ増やすようなもの」
部品調達にも課題
部品調達も容易ではない。日本光電は、海外から調達する部品の一部はまだ増産分すべてを確保できておらず、「今も交渉中」(広報)という。
三幸製作所(さいたま市)は年産約30台の人工呼吸器を300台まで増やす計画だったが、部材調達や大手の動きを考慮し、約50台にとどめた。「海外からの部品が入手しづらい」(遠藤昭和・営業企画次長)ためだ。中国から輸入している電子基盤が納期までに半年かかり、他社に同じ部品を生産してもらえても安全性試験が必要でコストや時間がかかるという。
新生児用の人工呼吸器製造で創業したメトラン(埼玉県川口市)は海外分も含む需要対応で動物用をヒト用に改修して増産するが、通常の80倍以上となる増産規模に部品メーカーが対応できないという問題を抱えていた。
こうした状況に、発注者と加工会社を結び付け必要な部品を短時間で手配するベンチャーのキャディ(東京・台東区)が協力。同社の加藤勇志郎社長は、引き合いのあった医療機器メーカー2社も「メトランと同じ課題を抱えている」と話している。
白木真紀、ティム・ケリー(編集:高木匠 取材協力:清水律子)
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