東京株式市場、日経平均は上げ幅拡大400円高 米国でのコロナ死者数減を好感
大和証券・チーフグローバルストラテジストの壁谷洋和氏は「新型コロナウイルスの感染者が集中する米国のニューヨーク州で1日当たりの死者数が前日から減少し、ピークアウトの兆しがみえてきた。一方、日本は緊急事態宣言を発令する方針を固めたが、これに対する見極めは難しいながら、現時点では一層の感染が抑えられるとしてポジティブに受け止められているようだ」とコメントしていた。 TOPIXは1.84%高で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆2092億5000万円だった。業種別では情報・通信業を中心に29業種が値上がりし、下げたのは空運業など4業種にとどまった。
個別では、トヨタ自動車、ソニーなど主力の輸出関連株が総じてしっかり。NTT、NTTドコモなども買われ、富士フイルムホールディングスが上場来高値を更新した。味の素をはじめ食品株にも高い銘柄が目立つが、ANAホールディングスが軟化し、伊藤忠商事など商社株もさえない。 東証1部の騰落数は、値上がりが1466銘柄に対し、値下がりが633銘柄、変わらずが68銘柄だった。
日経平均は前営業日比599円38銭高の1万8419円57銭まで上値を伸ばした後、1万8200円近辺での一進一退となっている。市場からは「ニューヨーク州での死者数減に加え、国内では緊急事態宣言の発令の可能性が伝わった。いったん悪材料出尽くしとなり、買い戻しが入っている」(東洋証券・日本株ストラテジストの大塚竜太氏)との声が出ていた。
日経平均は上げ幅を拡大し、前営業日比400円ほど高い1万8200円台半ばでの推移となっている。トランプ米大統領は5日、新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻なニューヨーク州で感染拡大ペースが落ち着き始めている可能性があるとの期待感を示した。市場からは「イタリアやスペインなど欧州でも死者数が減っていることも好感されている。現在、市場での最大の関心事は新型コロナによる死者数と感染者数。これらのニュースには反応しやすい」(三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏 )との声が出ていた。
ニューヨーク州は5日、1日当たりの死者数が1週間ぶりに前日から減少したと報告したが、それでも新たに600人近い感染者が死亡し、新規感染者も7300人を超えている。同州のクオモ知事は、州内の感染状況が落ち着きつつあるかどうかは依然不透明として慎重な見方を示した。
寄り付きの東京株式市場で、日経平均は前営業日比37円80銭高の1万7857円99銭となり、続伸。その後は前営業日終値近辺での一進一退となっている。ドル/円が108.80円台と円安基調を維持しているほか、米株先物がプラス圏での推移となっていることが好感されている。
市場関係者によると、寄り前の板状況は、トヨタ自動車、ホンダ、キヤノン、パナソニックは売り買い交錯、ソニーは売り優勢。
指数寄与度の大きいファーストリテイリングは売り買い交錯、ファナックは買い優勢。
メガバンクでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループが買い優勢、みずほフィナンシャルグループが売り買い交錯となっている。
*内容を追加します。
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