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雇用米、失業保険申請が1カ月で2000万件超 新型コロナウイルスによる景気悪化で今後も高止まり確実
米労働省が16日発表した11日終了週の新規失業保険申請件数は524万5000件だった。写真は失業保険申請者。4月6日、アーカンソー州労働当局で撮影(2019年 ロイター/Nick Oxford)
米労働省が16日発表した11日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は524万5000件だった。3月21日終了週からの1カ月間の申請件数は合計で2200万件を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化を改めて浮き彫りとなった。市場予想は510万5000件、予想レンジの上限は800万件だった。
4日終了週の申請件数は当初発表の660万6000件から661万5000件へ小幅に改定された。
15日に発表された3月の小売売上高は過去最大の落ち込みとなったほか、鉱工業生産統計は1946年以来の大幅なマイナスだった。エコノミストは米経済が既に景気後退(リセッション)入りしているとみており、第1・四半期の国内総生産(GDP)は第二次世界大戦以来の大幅な減少になると試算している。
失業保険申請件数は労働市場の現状を映し出す指標とされ、景気後退の深刻さや解雇が落ち着く時期、経済が回復し始めるタイミングを見極める材料として注目される。
ナロフ・エコノミクスの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「驚くほど景気活動が低迷している」とした上で「経済活動が再開すればいったんは持ち直すだろうが、回復の勢いや持続する期間は定かでない」と述べた。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジョセフ・ブリッグス氏は「各州が未処理の申請を処理するほか、閉鎖措置に対応するために従業員を解雇する企業が増える中、申請件数は向こう数週間非常に高い水準を保つだろう」と予想。「今週を含めた5月末までの申請件数は2000万人とみており、その後は過去の景気後退と同じ水準に戻る」との見方を示した。
新型コロナの感染拡大を抑えるため、州や地方政府は「自宅待機」や「外出自粛」勧告を出しており、90%以上の国民が影響を受ける中、経済活動は急停止した。
エコノミストは4月の雇用統計で何百万件もの雇用が減ったと予想する。3月の雇用統計では就業者数が前月から70万1000人減り、2007―09年の世界金融危機以来の大幅なマイナスとなった。就業者数がマイナスに転じるのは10年以来で、それまで雇用が伸び続けていた期間は米史上最長だった。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ダンテ・デアントニオ氏は「失業のペースと規模は、通常の景気後退ではなく自然災害に匹敵するだろう。4月全体では、失業者数が3月の10倍から20倍に上る可能性がある」と語った。
4日終了週の失業保険受給総数は453万件増の1197万6000件だった。受給総数は実際の失業状況を見極める上でより正確な数字と見なされている。エコノミストは4月に失業率が金融危機時のピークである10.0%や、第二次世界大戦以降で最悪となった1982年12月の10.8%を超えるとみている。
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