日銀、金融政策決定会合でマイナス金利深掘り見送り 4月は国債購入増が選択肢か
経済・物価に高まる下方圧力
今回の声明文の「別紙」には、日銀が描いてきた「物価目標へのモメンタム」の維持が微妙な段階にあることが示唆された。
景気の先行きは「当面、新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響から弱い動きが続く」とみられるとした。
リスク要因として、新型コロナ拡大の帰すうや、内外経済への影響の大きさや期間は「不確実性が大きい」と指摘。さらに原油価格の急落で「経済・物価に及ぼす影響にも注意が必要」だとし、経済・物価の「下振れリスクは高まっている」と指摘した。
日銀内では、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する4月の金融政策決定会合が重要になるとみられてきた。4月1日には3月調査の日銀短観、9日には支店長会議があり、新型コロナウイルスの実体経済への影響を3月会合よりは腰を据えて議論できるためだ。
追加緩和の有力な選択肢として浮上する可能性があるのは国債買い入れ目標の増額だ。今回、年間80兆円で維持したが、政府が大規模な経済対策を打ち出して国債の発行を増やせば、日銀も買い入れを増やしやすいとの見方が日銀内で出ている。
一方、中小企業の資金繰り支援の担い手である地域金融機関の収益環境を一段と悪化させかねないこともあり、マイナス金利の深掘りには踏み込みにくいとの声が依然、根強い。
もっとも、日銀の「次の一手」をめぐる不透明感はなお強い。新型ウイルスの感染拡大にピークアウト感が出れば世界経済は回復に向かうとの見方はコンセンサスでも、回復時期の予想は定まっていない。欧米で感染拡大が続く中で、4月会合における展望リポートでも経済・物価見通しの実質的な議論ができない可能性もある。
(編集:石田仁志)
[東京 16日 ロイター]
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