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コロナ危機後の世界経済

コロナ危機が中小企業にとってはるかに致命的な4つの理由

SMALL BUSINESS RISK

2020年3月31日(火)15時55分
リーバイ・キング(フィンテック企業NAV共同創設者・会長)

感染拡大を受けて飲食店の営業自粛も相次ぐ BRIAN SNYDER-REUTERS

<イベントは中止、店舗は閉鎖。小規模事業者にとって、リーマン・ショックとは桁が違う。今回の危機を乗り越える方法は? 本誌「コロナ危機後の世界経済」特集より>

先日、妻と米カリフォルニア州の地元の行きつけのレストランに足を運んだ。普段ほど混んでいないだろうとは思っていたが、何と私たち以外に客はカップル1組だけ。
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経営者のフランチェスコとマヌエラの話では、普段なら夜は予約が90件以上あるそうだが、その夜は新型コロナウイルスの影響が一目瞭然。空席だらけの光景が、小規模事業の苦境を物語っていた。

こうした現状は2008年のリーマン・ショックと比較されがちだが、実は今回のほうが小規模事業にとってははるかに致命的だ。私は起業家として20年間にさまざまな危機を経験したが、「新型コロナショック」は桁違いだ。その理由は4つある。

1つ目は奮起と創意工夫のチャンスがないこと。08年当時は消費支出が減少しても店はまだ営業していたので、奮起して消費を呼び込む工夫を凝らす余地はあった。

では今回はどうか。カリフォルニアでは州政府の要請で3月16日からバーやナイトクラブが閉鎖。レストランはテイクアウトのみの営業だ。

こんな状況では奮起と創意工夫などという話にはならない。政府から店を閉鎖しろと言われれば従うが、それでも諸経費は払わなければならない。現金はみるみる減り、終わりが近づく。JPモルガン・チェースの調査によれば、小規模事業の半数は予備資金が1カ月分もないという。

2つ目は規模を縮小したら経営が成り立たないところが多いこと。チャンスが減るのと全くないのとでは大違いだ。例えばイベント会社の主な収入源はビジネス会議だが、今回は相次いで中止されている。

私の知人の1人は年商の90%を年1回の大規模イベントで稼ぐ。それが駄目になったら1年間儲けがゼロになるのに等しい。前回の金融危機の際も打撃は受けただろうが、壊滅的ではなかったはずだ。

多くのコンサートホールや他のイベント会場も全てのイベントが中止を余儀なくされている。そうなったら儲けはゼロだ。

消費者に支援を呼び掛ける

3つ目は全ての顧客が影響を受けていること。2008年の金融危機の影響は世界中で感じられたものの、誰もが打撃を受けたわけではない。例えば、そもそも資産のない人は資産価値の大幅な下落を経験せずに済んだ。

一方、新型コロナウイルスの場合は誰もが影響を受ける。誰もが感染する恐れがある。若年層は重症化のリスクが低くても、親や祖父母や近所の高齢者などハイリスクの人々を危険にさらしたくはない。外出自粛ムードの中、実店舗型の小売店は既にかなり苦しい状況だ。

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