米国株式市場1338ドル安、ダウ平均はトランプ相場の上げ消失
米国株式市場は大幅反落。新型コロナウイルスを巡る懸念から、最近の売りが再び強まった。ニューヨーク証券取引所で撮影(2020年 ロイター/LUCAS JACKSON)
米国株式市場は大幅反落。新型コロナウイルスを巡る懸念から、最近の売りが再び強まった。ダウ平均は1338ドル下落し、2017年のトランプ大統領就任以降に記録した上げを全て失った。
S&P総合500種は下げ幅を縮小して引けたが、それでも5.2%安。2月19日の終値ベースの最高値から約29%下落している。
ホテルや空港では利用客が急減し、航空会社は損失抑制に向け従業員に無給休暇の取得を要請。これを受け、S&P1500航空株が20.8%安となり、ヒルトン、マリオット、ハイアットなどのホテル株が12─19%値下がりした。
エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ネラ・リチャードソン氏は「市場は恐怖と不確実性に反応しており、株価が底値を付けるまでは終わらないだろう。底値形成には新型コロナの感染拡大を封じ込め、経済的損害を限定する必要がある」と述べた。
トランプ大統領は約500億ドルの航空業界支援策に加え、総額5000億ドルの現金給付案を議会に提案したが、株安に歯止めはかからなかった。
JPモルガンは新型コロナの影響により、米経済が今四半期に4%、次の四半期に14%縮小し、通年では1.5%縮小する可能性が高いと発表した。
取引時間中にはS&P500が7%安となったことを受け、取引が15分間停止された。投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は76.45に上昇した。
米原油先物がこの日約17%下落して18年ぶりの安値を付けたことを受け、S&Pエネルギーは終値で2003年以来の安値となった。
デフォルト(債務不履行)や評価損の計上が相次ぐとの懸念から銀行株も売られ、S&P銀行株指数は7.9%安となった。
航空機大手ボーイングは17.9%の大幅安。
バンテージポイント・インベストメント・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、ウェイン・ウィッカー氏は「市場は2月初めには怖いもの知らずのような勢いがあったが、そこからきょうのように希望を失った状況に陥っている」と指摘した。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を12.71対1の比率で上回った。ナスダックでは8.79対1で値下がり銘柄数が多かった。
S&P500構成銘柄では、5銘柄が52週高値を更新し、294銘柄が新安値を付けた。ナスダック構成銘柄では11銘柄が新高値を更新し、1214銘柄が新安値を付けた。
米取引所の合算出来高は185億1000万株。直近20営業日の平均は146億株。