インド経済大失速 失望招いたモディ政権の景気対策
予算案に「企業寄り」の批判
インドの株式市場は、予算案の発表を受けた1日の特別立会において、ここ3カ月以上見られなかった低水準に沈んだ。アナリストによれば、十分な景気刺激策が見られなかったことが足を引っ張ったという。
NSEニフティ50指数は2.5%下落、ベンチマークとなるS&PインドBSEセンセックス指数は2.4%下落した。
シタラマン財務相は2日、記者団に対し、納税者に譲歩しつつ、財務規律と財政出動のバランスを取ろうと努めており、じきに投資家も成長刺激策を評価してくれるだろうと語った。
政府は2020─21年の経済成長率が6.0─6.5%まで加速し、現在2兆9000億ドル近いインドのGDPを2025年までに5兆ドルに成長させるという目標に近づくことになると期待している。
多くの国民はソーシャルメディア上で、今回の予算案はおおむね「企業寄り」であり、9月に既存企業に対する法人税率を30%以上から22%へと引き下げたのに加え、株主配当課税まで免除している、と不満の声を投稿している。
代わりに課税されるのは配当を受ける株主側であり、高所得納税者の負担が増すことになる。
金融緩和効果が相殺されるリスクも
シタラマン財務相によれば、政府は減税措置の詳細をこれから明らかにする予定であり、必要に応じて、国営銀行への資金注入を行う可能性があるという。
またアナリストは、政府の国債依存度が高まれば市中金利が上昇、民間資金への需要が抑えられるクラウディングアウト効果を生じかねず、最近の金融緩和政策による効果が相殺されてしまう可能性があると話している。
インド準備銀行(RBI)は昨年来、ベンチマークとなるレポ金利を135ベーシスポイント切り下げているが、負債に苦しむ銀行は、その恩恵を十分に融資先に還元できていない。
RBI金融政策委員会の次回会合は2月6日に予定されており、エコノミストの過半は、最近の小売インフレ率の急上昇を受けて金利を据え置く一方で、今後の金融緩和に含みを残しておくことになると予想している。
(翻訳:エァクレーレン)
2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。