受験地獄、大学で終わらない韓国 企業面接で「AI」に高評価されるための講座がブーム
近い将来、韓国企業の人事部のボスはAIになる? iStockpohoto
<20代の失業率が日本の2倍以上という韓国では、就職試験向けの受験講座が盛ん。これらの予備校が今、力を入れているのがAIによる採用試験への対策講座だ>
企業の採用面接は、短時間で相手の人柄や能力を見極めなければならない難しい作業だ。もちろん入社を希望する側にとっても、これからの人生を左右する大事な一大イベントといえるだろう。しかし、今後はその大事な採用不採用の判断をAIが選別する時代が来る。
実際、韓国では、昨年の下半期185社(AI力量検査システム開発会社調べ)にも上る韓国企業で、AIによる面接が採用されている。さらに2020年には300以上の企業がAI導入すると見込まれている。これに伴い、韓国ではAI面接への対策ビジネスが大きな注目を集めている。
AIが行う面接、何が違う?
AI面接は、一般の入社面接と一体どこが違うのだろうか。企業側のAI面接での利点は大きく2つ「客観性」と「費用削減」だという。有名大手企業になると、数人採用予定の狭き門に多くの応募者が殺到する。AI面接はこのすべてを最終審査までAIが決めてしまうわけではなく、第一段階のふるいに掛ける作業をAIが行い、膨大な量の履歴書を客観的に選別することで、そこに掛ける人件費も削減できるというわけだ。今後、最終面接までもAIが行う世界が来るかもしれないが、今の段階ではAIの第一次審査を通過したものが、次の役員面接に進めるシステムを採っている会社がほとんどだという。
一般的に入社試験と言えば、エントリーシートや履歴書を記入し応募した後、筆記テストや面接などを経て、結果が決まるケースがこれまでの流れだった。しかし、AI面接では、入社希望者が自己紹介などの映像をスマートフォンなどで自撮り撮影して送るところから始まる。さらにアンケートや職務適合テストをコンピューターが総合評価して該当企業に相応しい人材を選ぶ方式だという。
では、AIの選別能力はどのようにして学習させたのかというと、答えは簡単だ。適合テストなどはその解答データを、面接は、人事採用の専門家100人に様々な人の面接映像を見せ、その中で評価の高かった人の面接映像と音声データを教え込ませた。なかでも一番大事なのは、しゃべり方と声だという。AIは声と発音、表情、視線、話すスピードなどを総合的に判断する。