最新記事

日本社会

チョコ「毎日1億円」売る名古屋の催事とは? 世界初ゴディバの別注も

2020年2月3日(月)19時15分
市川 歩美(ショコラコーディネーター) *東洋経済オンラインからの転載

newsweek_20200203_152117.jpg

チョコのお菓子も売れ筋。あらゆる世代が楽しめるチョコがある(著者撮影)

名古屋人好みのチョコをそろえる

チョコレートの品ぞろえにも工夫がある。通好みすぎず、名古屋好み。「名古屋のお客さまはミーハーではやりもの好き、かわいいものやピンク、フリル、花柄が好き。これらはチョコに限らずそうなんです」(犬飼さん)

ここでしか買えない限定アイテムもファンの心をくすぐる。今年は約120種類もの限定品があり、中でも目玉は「ゴディバ」が、ジェイアール名古屋タカシマヤ「アムール・デュ・ショコラ」だけのために作った限定チョコレートだ。ゴディバが1店舗・1催事だけのために商品開発をするのは世界初となる。

また名古屋には「おすそ分け文化」が根付く。「せっかく行ったから自分だけでなく、みんなの分も買っておすそ分けしたい」。そんな気質が単価アップにつながるのかもしれない。

来場者もシェフも熱い

10年前からこのイベントに通う中村清明さん(40代)は「今年は15回くらい会場へ行く予定。明日は仕事が休みなので朝から並んで限定品を買います。出来立てのスイーツが食べられたり、シェフが色々なサービスをしてくれたりして、チョコレートのお祭りを超えて、ディズニーランド化している感じがします」と話す。

人気出店ブランド、パティスリー・サダハル・アオキ・パリの青木定治さんは「自分がチョコレートを勉強しはじめた頃から、アムールもどんどん熱い会場へと進化していった。共に歩んできたこのイベントは、チョコを作る喜び、売る喜びを教えてくれて、僕のショコラ熱を熱くしてくれます」と語った。

毎年社員が、会場を盛り上げるアイデアを実行し続けてきた。その20年の蓄積が功を奏し、1日約1億円を約1カ月売り続けるイベントとなった。「なかなか認めてもらえなかった時代を体験している私は、このイベントに思い入れがあります。お客さまとシェフと社員とがひとつになるアムールが、私自身、本気で大好きなんです」と、14年間百貨店広報を務める犬飼さんも熱い。

年々膨れ上がる来場客の安全確保、開店前の行列や会場内の整備がこれまで以上に重要になるだろう。今年も売り上げ記録更新が予想される。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中