波乱に満ちた2010年代 世界の金融市場を一変させた10のトレンド
仮想通貨
2010年の時点ではビットコインはオンラインフォーラムの一部で話題を呼んだアイデアだった。しかし10年後、暗号資産(仮想通貨)は金融、ビジネス、政治と結びついている。
2010年には仮想通貨市場は存在しなかったが、現在は2000億ドルを超える。ビットコインバブルの頂点では8150億ドルに達した。上場時は3セントだったビットコインは7500ドル超で取引されている。一時は2万ドルに迫っていた。
仮想通貨は反政府運動や犯罪のためのツール、投機の対象、円滑な支払い手段などさまざまな面を持つ。安全性に対する懸念を完全に払しょくするまでには至っていないが、仮想通貨とブロックチェーンの技術はめまぐるしいペースで進化している。フェイスブックの「リブラ」計画や中銀のデジタル通貨構想などは最たるものだ。
パッシブ運用の隆盛
時には消極的(パッシブ)なほうがいいこともある。S&P500指数に連動するETF(上場投資信託)に投資するパッシブ運用ならリターンは過去10年間で200%となっていた。しかも手数料はアクティブ運用の何分の一かだ。コンサルティング会社ETFGIによれば、ETFは2010年の2兆ドルを下回る規模から約7兆ドルに急拡大した。バンク・オブ・アメリカは安い手数料に支えられてETFブームが続くとし、2030年には50兆ドルに達すると予想している。
環境投資
過去4年間が歴史上最も暑かったことで投資家は気候について10年前とは考え方を変えつつある。
農作物の不作や洪水、森林火災はすべてポートフォリオに打撃を与え得る。環境を汚染する産業への投資を減らしたり、再生エネルギーや節水技術への投資を増やしたりするファンドが増えている。植物由来の人工肉を製造するビヨンド・ミートは2019年の新規株式公開(IPO)で成功を収めた。
グローバル・サステーナブル・インベストメント・アライアンスの推計によると、持続可能な投資やグリーン投資は30兆ドルを超え2011年の2倍以上の規模となっている。
環境事業のための資金を調達する環境債(グリーンボンド)が初めて発行されたのは2007年だが、今年の起債は2000億ドルを超え過去最高となった。