韓国財閥系のLGとSKがEV電池で訴訟合戦 中国は漁夫の利狙う?
企業秘密
VWは、今後5年間に発売予定のすべてのEVを考えた場合、電池が足りなくなるのではないかと危惧している。LGCや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)といったEV用電池メーカーが、欧州の新規工場における急激な増産に対応できる数の熟練労働者を抱えていないことが、その一因という。
韓国の電池産業調査会社SNEリサーチによると、世界のEV用電池市場は2025年まで年間23%拡大して1670億ドル規模に達し、その時点のメモリーチップ市場の1500億ドルを超える見通し。電池はEVを構成する最も高価かつ重要な要素だ。
LGCは訴状で、VW向けEV用電池プロジェクトに携わっていた社員をSKIが引き抜いたと主張。SKIがVWから契約を獲得できたのは、企業秘密を不正入手したからこそだと訴えている。
SKIは、従業員は前の職場で得た情報を使わないという契約に署名しているとして、企業秘密の盗用を否定。広報担当者は「当社は知的財産を尊重する」と述べた。
この問題で、米国際貿易委員会(ITC)は来年6月5日に仮決定を下す。決定がLGCに好意的な内容となれば、SKIがジョージア州もしくはハンガリーの新工場からVW米工場に電池を供給する計画は頓挫しかねない。
LGCは今年4月、ITCに対し、SKIが電池、部品、製造システムを米国に輸入するのを差し止めるよう求めた。このシステムを用いた米国での生産は22年に始まる予定だ。
SKI広報は、米国工場の建設計画に変更はないと説明。年間の電池生産能力はEV20万台分を超える予定だとした。提訴を巡り、供給に影響が出るかなどの問い合わせを顧客から受けているとした。
LGCによると、ITCによる最終決定は来年10月5日になる可能性があるが、LGCは今月、SKIへのいわゆる「欠席裁判」を早急に下すようITCに要請した。
ロイターはITCにコメントを求めたが、返答は得られていない。