韓国財閥系のLGとSKがEV電池で訴訟合戦 中国は漁夫の利狙う?
漁夫の利
両社の訴状によると、米国の特許侵害訴訟で敗れた企業は、その特許を用いた製品の米国での販売を禁じられる可能性が高い。敗訴するのは1社の場合も、両社の場合もある。
両社は韓国でも互いを提訴した。
LGCは書面で、当該の特許を用いたデザインは不可能になると説明。SKIは、特許訴訟に負ければ同社の電池事業は「大打撃」を受けかねないとしている。
両社とも、現時点で供給に支障は来していないと説明した。
EV用電池業界で最初に頭角を現したのはLGCだった。08年には、世界初の大衆市場向けプラグインハイブリッド車となったGMのボルトに電池を供給する契約を確保。以来、テスラを含むほぼすべてのEVメーカーと取引関係を持った。
しかしLGCは従業者の大量流出と格闘してきた。報告によると、16年から18年にかけて1258人が他社に移籍。LGCはロイターに対し、16年以降にSKIに転職した人数は累計で訴訟を起こした今年4月時点の77人から、今では約100人に増えたと説明した。
両社の激しい確執に、韓国政府の当局者らも頭を抱えている。両社の評判に傷が付き、他国のライバル企業が漁夫の利を得て韓国企業からシェアを奪いかねないからだ。
韓国議員らは政府に介入を要請。成允模・産業通商資源相は10月、係争を注視しており、「国全体にとってプラスの結果」をもたらすため、いつ、どんな役割を果たせるか検討していくと述べた。
電池コンサルタントのビージェイ・キム氏は、VWが仲裁に入る必要があるかもしれないと言う。LGCとSKIの対立は電池供給を混乱させるだけでなく、VWにとっての納入業者同士が競争するのを阻害する恐れがあるからだ。
「だれ1人として両社の徹底抗戦を望んではいない」とキム氏は語った。
[ソウル ロイター]
12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。