最新記事

投資

10兆円規模の資本金を2年で使い果たしたソフトバンク巨額ファンドの成績は

2019年11月6日(水)11時51分

ソフトバンクグループの1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」は、自動運転や医療、金融といったさまざまな分野で、不採算のスタートアップ企業に投資し、わずか2年余りで資本の大部分を使い尽くした。写真はアジアを中心に展開するソフトバンクの投資会社。3月4日、韓国のソウルで撮影(2019年 ロイターKim Hong-Ji)

ソフトバンクグループの1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」は、自動運転や医療、金融といったさまざまな分野で、不採算のスタートアップ企業に投資し、わずか2年余りで資本の大部分を使い尽くした。

経営難に陥った共有オフィス「ウィーワーク」運営会社の米ウィーカンパニーへの100億ドルの支援や、米配車大手ウーバー・テクノロジーズなど他の投資先の株価急落は、孫正義社長の2つ目の巨大ファンド設立に向けた取り組みに影を落としている。

ビジョン・ファンドの投資先とパフォーマンスの概要は以下のとおり。

主要な投資先と投資額

*ウィーカンパニーに130億ドル超(ソフトバンクGと共同で)

*中国配車サービス大手の滴滴出行に118億ドル

*ウーバーに77億ドル

*東南アジアの配車サービス大手・グラブに30億ドル

*韓国の電子商取引企業・クーパンに30億ドル

(注釈:投資額は企業の当局への提出文書やロイター報道から)

ビジョン・ファンドの規模

*6月末時点で、同ファンドは83社に714億ドルを投資。投資収益は202億ドルで、6月末に投資家へ64億ドルを分配。

*ソフトバンクは同ファンドに205億ドルを拠出。同社の未実現投資収益は253億ドル、未分配マネジャーパフォーマンス手数料は32億ドル、実現収益は16億ドル。

大半は紙の上の利益

ビジョンファンドの202億ドルの投資収益は大半が「紙の上」の利益で、上場した出資先5社のうち4社の株価が7─9月期に急落したことから、評価額への下押し圧力は増している。

5社はウーバー、ビジネス対話アプリの米スラック・テクノロジーズ、がん検査キット製造の米ガーダントヘルス、中国ネット専業保険の衆安在線財産保険<6060.HK>、中国のオンライン医療サービス会社、平安健康医療科技<1833.HK>。

一方、インドのネット通販大手・フリップカートと米半導体大手・エヌビディアの株式売却で実現した利益が特に大きかった。

ソフトバンクGの株価は同期に下落した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ、米関税で最大80億ドルの損失も=政府高官

ビジネス

午前の東京株式市場は小幅続伸、トランプ関税警戒し不

ワールド

ウィスコンシン州判事選、リベラル派が勝利 トランプ

ワールド

プーチン大統領と中国外相が会談、王氏「中ロ関係は拡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中