年内に続々「発動期限」到来 トランプの関税措置
11月14日 米通商拡大法232条による自動車関税
米国に輸入される自動車・自動車部品を安全保障上の脅威とみなし、通商拡大法232条に基づく最大25%の制裁関税対象とするかどうかに関する政府の長期的な調査は、11月14日に結論が下される。
トランプ政権は、この判断を先送りしてきた。もし制裁関税を発動すれば、販売価格に数千ドルが上乗せされ、米経済全体で数十万人の雇用が失われる可能性がある。
11月16─17日 APEC首脳会議
トランプ氏と中国の習近平国家主席は、11月16─17日にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定。トランプ氏はそこで、中国との「第1段階」の通商合意を正式署名できるとの見方を示している。ただ両国には、知的財産や為替政策、中国における金融サービスアクセス、農産品購入についての相互の了解事項を合意文書に加えるための交渉が残っている。
そうした合意文書取りまとめには集中的な話し合いが必要で、最終的に米国が中国向け関税をさらに軽減したり、中国が米農産品を追加購入することなどが盛り込まれるかもしれない。
11月中 USMCAの承認採決
新たな北米自由貿易協定(NAFTA)と位置付けられている、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)は、昨年9月に交渉が妥結したが、発効に不可欠な米議会の承認がまだ得られていない。
トランプ氏や与党・共和党、複数の企業団体は野党・民主党のペロシ下院議長に、11月28日の感謝祭のかなり前に批准手続きを進めるよう求めている。11月末までずれ込むと、批准法案と政府の資金繰りを維持するための予算措置の審議が重なってしまう。その後になれば、来年の大統領選と議会選に向けた活動が本格化し、また下院民主党によるトランプ氏の弾劾調査が進行するので、批准法案は立ち往生しかねない。
それでも一部の民主党議員や米国労働総同盟・産別会議(AFL─CIO)のトップは最近、USMCAの労働者の権利保護に関する条項が適切に執行されるかどうか懸念を表明している。
12月15日 新たな中国製品向け関税
12月15日には、これまで対象外だった1560億ドル相当の中国製品に新たな関税が適用される。
携帯電話やパソコン、玩具、衣料品といったほぼ全ての消費財が含まれる見込み。米国の企業や小売業者がクリスマス商戦用に関税ゼロで十分な在庫を確保できるようにこうした期限が設定されたが、同商戦終盤の買い物客は値上げに直面してもおかしくない。
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