「左派的ただ乗り論」と叩かれるMMT トランプの政策と親和性持つ皮肉
新常態
オバマ政権やクリントン政権の経済政策に深く関与してきたサマーズ元財務長官など、ケルトン氏を批判する人々の一部も、米国が以前ほど借金を懸念しなくてよく、公共投資の不足をもっと気に掛けるべきで、将来の経済政策では財政にずっと大きな役割を与えるべきだということには同意している。
ただどうしても受け入れられないのは、ケルトン氏らが、連邦債務が拡大し過ぎるリスクがあるとの主流派経済学者の主張について、米政府が自国通貨で借り入れをしていることを踏まえれば大げさであり、過剰なインフレの脅威は規制と増税で抑え込めると強調している点だ。サマーズ氏は、こうしたMMTの理論を怪しげなことを意味する「ブードゥー経済学」だと呼び、全面的に否定した。
一方ヘッジファンド運営会社ブリッジウオーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏といった論客は、ケルトン氏が掲げるような政策は「新常態(ニュー・ノーマル)」の経済では「避けがたい」存在になっているとみている。
金利が歴史的な低水準に沈み、物価が低迷している今、中央銀行当局者たちも、果たして次の景気悪化局面を乗り切る金融政策手段があるのか、それがないならどうやって経済を浮揚させるべきか自問自答しているありさまだ。
MMT推進派によれば、こうした現実こそが、議会が完全雇用と適切な需要を確保するために素直にお金を使い、財務省が小切手を切り、FRBがそれをカバーするために紙幣を刷るという方向への政策転換が必要なことを表しているという。
(Howard Schneider記者)
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