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食10万匹つめたスーツケースはロンドンから中国そして日本へ 広がるウナギの違法密売取引
7月9日、絶滅が危惧されているウナギの稚魚が、欧州で違法に取り引きされている。スーツケースに大量の稚魚をつめて密売するケースも見受けられる(2019年 ロイター)
英国の河川を泳いでいる稚魚のシラスウナギは、不透明な違法取引の中心にいる。非常に需要の高いヨーロッパウナギに成長する。
取引はフランスとスペインに集中する一方で、英国の密輸業者も合法的な市場の価格を大きく上回る額を提示している。
ウナギの保護団体「サステイナブル・イール・グループ」のアンドリュー・カー氏は、「最大10万匹のシラスウナギをスーツケースに入れられる。1匹1ユーロ(約122円)とすれば、スーツケース1つで約1220万円になる。そして到着先の中国で育て、1年後には約1億2200万円相当になる」と説明した。
毎年、何億匹ものこれらのウナギは欧州の河川に移動する。この数は多いように思われるが、減少により絶滅が危惧されている。
欧州連合(EU)は2010年に規制を導入し、これらのウナギをEU以外で販売することは違法となった。
カー氏は「日本、中国、韓国ではウナギはよく食卓に上る。しかし忘れてはならないのは、ウナギが北米に再輸出され、欧州に再び戻ってくることだ」と語った。
スペイン南部で昨年行われた摘発では、10人が逮捕された。
ロンドンではEU各国の高官が集まり、共同で不正取引対策に取り組むことを協議した。
英国の野生生物犯罪当局のイアン・ギルフォード氏は、「合法的な取引も多い。合法と違法の取引が並行しており、対応は時に難しい」と述べた。
しかし、ウナギの不正取引は本当に世界最大の野生生物犯罪なのだろうか。
ギルフォード氏は「最大規模に近づいている。違法な市場での金銭的利益をみれば、野生生物に関する重大犯罪の1つになりつつある」と指摘した。
当局は密輸業者の摘発に注力しており、業者がすり抜けられる網の目は狭まりつつある。
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