対米貿易戦争が直撃 中国メーカー「苦肉」の生き残り策
貿易障壁に直面する中国の製造業は、海外顧客を維持しようと、値引きの提示や免税措置の活用、人材削減など、さまざまな作戦を展開しつつある。写真は2018年4月に開催された貿易展示会「広州交易会」(2019年 ロイター/Tyrone Siu)
貿易障壁に直面する中国メーカーは、海外顧客を維持しようと、値引きの提示や免税措置の活用、人材削減など、さまざまな作戦を展開しつつある。中には、関税を回避するため生産拠点を海外に移転する例も見受けられる。
米中貿易戦争による報復関税の応酬は、多くの企業にコスト増をもたらした。欧州連合(EU)が、電動バイクから太陽光パネルに至る中国製品に関税を課したことも中国製造業の悩みを深めている。
3月に入り、業界にとって明るいニュースが相次いだ。鉱工業生産は2014年半ば以降、最も高い伸びを示し、輸出が予想以上に回復したほか、第1・四半期の経済成長率も予想を上回った。
それでも、米国向け輸出に依存する一部企業とっては苦境が続く。中国南部で今月開催された貿易展示会「広州交易会」では強気姿勢を示した企業も、貿易を巡り米中政府が合意に達しなければ、さらなる生き残り策を講じる必要が出てくることを懸念している。
泊頭にあるBotou Golden Integrity Roll Forming Machineの営業担当者ホープ・ハ氏によれば、関税導入により軽量鋼桁や建躯体用の棒鋼を製造する同社製の機械価格が上昇し、米国顧客の一部を失ったという。
同社は現在、売上促進のために8%の値引きを提示している。
「顧客が高い輸入関税を払う羽目になったので、こちらが値引きを提示しなければならない」とハ氏は言う。
ボールベアリングを製造するCixi Fushi Machineryのジェーン・ワン代表によれば、同社は長期契約の顧客に対して3─5%の値引きを提示したという。だが、それでも十分ではなく、同社は月間3万ドルの売上を稼いでいた生産ラインを一時停止したと同氏は話している。
「(米中)合意を待つことになるだろうし、そうすればまた再開するだろう」と彼女は言う。現時点では、主力市場である中東地域に注力している。
コスト上昇分の価格転嫁に成功した企業もある。