若者のSNS拡散力に賭けるAbemaTV 地上波超えの野望
ソーシャルメディアでの反応
AbemaTVは、オリジナルの生放送コンテンツやニュース、音楽、スポーツなど約20チャンネルを無料で視聴できる。ソニーの4Kテレビ「ブラビア」などにAbemaTVボタンを搭載、伝統的なテレビ局の番組視聴者も取り込みながら、視聴者数を増やしている。
有料ビデオやダウンロード機能などを備えた月960円の有料会員は、この1年間で約8万人から35万8000人まで増えた。今後は広告と課金の2本柱で収益を拡大していく。
AbemaTVのヒット番組には、元SMAPメンバーが出演した「72時間ホンネテレビ」や、恋愛リアリティーショー「オオカミくんには騙(だま)されない」シリーズなどがある。
「オオカミくん」は本気で恋をしたい女子高生が、イケメン男子とデートを繰り返しながら恋に落ちて行くまでを追いかける番組。
イケメン男子の中には、気を引くために嘘をついている「オオカミくん」が紛れ込んでおり、視聴者は投票で「オオカミくん」を脱落させることができる。
「Popteen」番組も視聴者参加型で、視聴者ランキングは専属モデル選びの重要な要素となった。制作局の月岡愛理氏は「単に可愛いというよりも、自分の弱いところなどをさらけ出した子が結果的に得票につながった」と話す。ソーシャルメディアでの反応が番組の行方を盛り上げた。
テレビに迫るネット広告
サイバーエージェントが60%、テレビ朝日が40%を出資して設立したAbemaTVは昨年10月、電通と博報堂DYメディアパートナーズへの第三者割当増資を実施。現在の出資比率は、サイバーエージェントが55.2%、テレビ朝日が36.8%、電通が5.0%、博報堂DYメディアパートナーズが3.0%となっている。
この出資により、AbemaTVは広告拡販に加え、コンテンツ調達の強化を目指す。
電通は2月、2018年のインターネット広告費が前年比16.5%増の1兆7589億円になったと発表した。5年連続の2桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7848億円に迫る数字となっている。
電通の曽我有信・最高財務責任者(CFO)は「新しいメディアを育てていきたい」と語った。インターネットテレビが、伝統的テレビを超える日はそう遠くないのかもしれない。
(サム・ナッセイ 翻訳編集:志田義寧)
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