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アカデミー監督賞受賞「ROMA/ローマ」はホントに映画? ボーダーレス化が進む映画ビジネス

2019年3月14日(木)20時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


ネット配信ならではの機能を活用した「ブラックミラー:バンダースナッチ」 Netflix Japan / YouTube

もはやゲーム? 見ている人によってストーリーが違う!

ネットフリックスはまた違った形でも、映画と映画以外のコンテンツとの垣根を越えている。それが「ブラックミラー:バンダースナッチ」だ。ブラックミラーといえば、イギリス版の「世にも奇妙な物語」のようなドラマと言えばわかりやすいだろう。1話完結で、近未来を舞台にしている話が多く、SFチックなストーリーとなっている。

今回、放送されたこの「バンダースナッチ」のエピソードは、配信後から元々のファンはもとより、ゲームマニアからも注目を集めることとなる。その理由はストーリーが進むにつれて画面に選択肢が現れ、視聴者の選択によって話やエンディングの進み方が違ってくるという内容だからだ。まさに、TVゲーム感覚で映画の登場人物とストーリーを操作できる体験型映画なのである。こういったインタラクティブ作品をネットフリックスは2017年6月に「長ぐつをはいたネコ: おとぎ話から脱出せよ! 」、また翌月7月に「バディ・サンダーストラック」といういずれも24分の作品2本を配信してきた。しかし、両方とも子供向けアニメーションだった。今回、「ブラックミラー:バンダースナッチ」ではついに大人向けのインタラクティブ作品を配信し大成功したのだ。今後もこういったインタラクティブ作品は増え続けていくだろう。そうなると、ドラマ/映画/ゲームのボーダレス化はますます進んでいくと思われる。

ネットフリックスに限らず、VRや4DXシアターなど現実と映像のボーダレス化はこの先も進化を続けていくはずだ。つい先日、スティーブン・スピルバーグ監督が「テレビフォーマットはアカデミー賞のノミネートには適していない」と発言したという報道があった。本人はその後否定はしたものの、2018年4月にも同様の発言をしているだけに今後も尾を引きそうだ。

映像配信サービスが自らコンテンツを作る時代にあって、これからさらに増えていくであろうコンテンツのボーダレス化に対して、柔軟に対応していくべきか、映画との線引きを明確にしていくべきか。映画館の存在意義や、映画作品とは一体何なのかを問われる時期に差し掛かっているのかもしれない。

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