裏口入学は割に合うのか? 米一流大不正事件の投資利益率を考える
無形資産
長期的に見ると、一流大卒には高収入のほかにも利点がある。大卒者の方が失業率が低く、仕事の満足度も高い。
トロント大の経済学教授であるフィリップ・オレオプーロス氏は、大卒者の仕事以外での利点を調査。その結果、賃金の違いを考慮しても、大卒者は離婚率が低く、健康状態も良好で、全体的に幸福感を感じているという。
同教授は「金銭的な利益をはるかに超えている」と述べる一方で、親による不正入学は「極めて不公平」だとして絶対に支持できないと付け加えた。
まだ全容が明らかになっていない今回のスキャンダルは、裕福な家庭の子どもを合法的に優遇することもある大学入試プログラムによって悪化した経済格差を浮き彫りにした。その一方で、学費ローン残高が1.56兆ドルに達していることを、連邦準備銀行のデータは示している。
金銭面だけで見るならば、少なくとも一部の賄賂や不正は、純粋な利益をもたらしたことをロイターの分析は示唆している。ただし、そのカネを賄賂や不正に使わなかったらどのように投資していたかを検討しない場合の話だ。
裏口入学にかかった平均額25万ドルを、長期のフィナンシャルプランナーが広く計算に使っている年率6%で運用した場合、そのリターンは、高校を卒業してから65歳までに390万ドルになる計算だ。
120万ドルの場合、リターンは最大1860万ドルに達する。
次の機会では、母親にただカネをくれと頼んだ方がいいかもしれない。
(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
[サンフランシスコ/ワシントン ロイター]
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