「紙なし、窓口もなし」 三菱UFJ、20年後リアル店舗ゼロをにらんだ新型店の実力度
低金利時代に生き残りをするためメガバンクの雄、三菱UFJも新しい試みをしている Toru Hanai - REUTERS
整理券を受け取り、紙の書類に記入し、銀行員のいる窓口に行って手続きをする――。これまで当たり前だった、そんな銀行店舗のあり方が大きく変わろうとしている。
三菱UFJ銀行は1月21日、新コンセプト店舗「MUFG NEXT」を学芸大学駅前(東京都目黒区)にオープンした。三菱UFJフィナンシャル・グループでチーフ・デジタル・トランスメーション・オフィサー(CDTO)を務める亀澤宏規執行役専務が「デジタライゼーション戦略の中でも重要なファーストステップ」と言うように、デジタル技術を存分に活用した。
新型店で「新しい銀行体験を」
受付は専用のタブレット端末で行い、従来の店舗で行われていたような書類の記入は必要ない。テレビ電話を通じた相談窓口「LINKS」や税金や公共料金などの支払いも可能なATM「STM」などで取引を進める流れだ。
店舗の中心にはインターネットバンキングを利用するためのタブレット端末が設置されている。店舗には5人のコンシェルジュが常駐し、タブレット端末などの操作方法をサポートする。
インターネットバンキングを使えば、いつでもどこでも取引ができ、手数料も安く取引ができる。一方でネットになじみのない高齢者層にはハードルが高い。三菱UFJ銀行チャネル企画部の荻窪大介上席調査役は、今回の店舗で「新しい銀行体験をしてもらい、簡単に早くできるというメリットを実際に感じてもらいたい」と語る。次世代店舗には、ネットバンクへの移行促進という狙いが込められている。
学芸大学駅前店は当面、2階部分に従来型の窓口を残して運営する。同店の窓口の人員は現在約20人。次世代店舗での取引が主流になれば、窓口は不要になり、店舗の人員は半分以下で済む。
重要なのは、このようなデジタル技術を活用したサービスを顧客が受け入れるかどうかだ。荻窪氏は「今回の店舗が完成形ではなく、進化を続ける」という。その意気込みは店舗にも見て取れる。今回の店舗には13台のカメラが設置され、人数や年齢、店舗のどこをどのように移動したかなどを分析する。どのような層の顧客がどんな理由で店舗を必要としているか、待ち時間を減らすために必要な機器の配置や効率の良い動線を模索する。