「働き方改革」では世界に取り残される? 日本の働き方は「時代遅れ」
もう1つの要素は、「日本人以外と働く」ということだ。外資系企業の多国籍チームで働く場合を例に考えてみよう。あるプロジェクトが立ち上がると、その目的を果たすために必要なメンバーが各国のオフィスから招集される。プロジェクトが進行している間は、仲間として席を並べて全力でミッションに取り組む。
が、プロジェクトが終わると、それぞれの国に戻っていき、次のプロジェクトに挑む。同じメンバーと再び一緒になることもあるが、再会することがなくても、さまざまな情報をやり取りする「仲間」となる。
自分が働いている場所は気にならなくなる
こうした働き方をしていると、「国籍」という概念はなくなってくる。お互いがどこの国出身なのか、あるいは、どこのオフィスで働いているのか、ということは、ミッションを成し遂げるうえでさほど重要なことではなくなってくるのだ。こうした環境を常とする仕事をしていると、自分が働いている場所が日本だろうと、アメリカやアジア、ヨーロッパだとしてもさほど変わらない感覚で働けるようになるだろう。
ただ、日本では日本人だけと生活し、学び、働くことになれている人が多いのが実態であり、上記のような多国籍メンバーと働く環境に身を置いて過ごしたことがある人はごくわずかだろう。
しかし、厚生労働省によると、2017年10月末における日本国内の外国人労働者数は128万人と、前年比19.4万人増加し過去最高を更新したとのこと。日本で働く海外籍の人材が増える中、今後は外国人と働く機会が増えるかもしれない。
何でもかんでもグローバル化すればいい、というわけではない、という意見もあるだろう。しかし、日本で働き方改革の議論が進む中で、海外の例や考え方を参考にしたり、取り入れたりすることは無駄ではない。なぜなら、現状の日本における議論では、本質的な部分が見過ごされているからだ。